中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
1件の記事があります。
ページ先頭へ↑
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、上信越高原、妙高戸隠連山、中部山岳、白山、伊勢志摩国立公園があります。
稲永ビジターセンター前の庄内川は穏やかに流れ、
川に浮かぶカモたちは心なしかのんびりと過ごしているように見えました。
一方、稲永公園内の松林では、カワラヒワの鈴をころがしたようなかわいい鳴き声や、
ヒヨドリのピィーという鳴き声などが聞こえ、とても賑やかでした。
こちらの芝生にはキジバトがいました。
実は、この芝生は、稲永ビジターセンターの屋上にある芝生です。
稲永ビジターセンターでは、屋根の上に土を載せ、芝などの植物を生やしています。
【玄関側(右)と庄内川側(左)から見た稲永ビジターセンター(赤い矢印が草が生えている部分)】
これは、「屋上緑化」と呼ばれ、環境に配慮した技術のひとつです。
(ちなみに藤前活動センターの屋上も緑化されています。)
屋上に植物が生えていることにより、屋根への直射日光が遮られるため、
屋内の室温があがりにくく、夏場の節電につながっています。
また、植物から水分が蒸発するときに熱を奪うため、周囲の温度を下げる効果
(ヒートアイランド現象への対策)もあるとされています。
【屋上にのぼると草がたくさん生えているのが分かります(昨年9月)】
さらに屋上緑化が施されていることにより、建物が周りの松林にとけこみ、
鳥などの生き物にも影響を与えにくいと考えられています。
実際、この屋上は植物の種などを食べたり、休息したりと、
キジバトの他にスズメ、ムクドリなどの鳥たちが訪れる場所にもなっています。
ちなみに、稲永ビジターセンターの屋根は最近とてもきれいになりました。
冬に植物が枯れて荒れていましたが、この3月半ばに雑草や枯れ草を抜き、
土を足して、芝を貼り替えるという補修工事をしました。
【大きなクレーンで土などを屋根の上にあげていました】
【補修前(左)と補修後(右)】
補修後は、屋根がとてもすっきりさっぱりし、
来館者の方にも自信を持ってご紹介できるようになりました。
今はまだ植物があまり生えていませんが、これから、暖かくなるにつれ、
屋上には様々な植物が育ち、そして季節ごとに姿を変えていくと思います。
たくさんの鳥たちも訪れるでしょう。
稲永ビジターセンターに訪れる際には、屋上緑化を一度ご覧になってみてくださいね。
屋根の上にも生物多様性を感じられるかもしれません。