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信越自然環境事務所

報道発表資料

2025年09月04日
  • 報道発表

令和7年度中央アルプスにおけるライチョウ野生復帰事業の実施について

 環境省では、中央アルプスライチョウ復活プロジェクトの一環として、関係機関と連携し野生復帰事業を進めています。今般、(公社)日本動物園水族館協会加盟動物園で飼育・繁殖したライチョウ(20羽程度)を2回に分けて、第1回を9月10日に、第2回を9月下旬の予定で放鳥します。
 野生復帰事業は、ライチョウ保全のため、野生復帰技術の確立と中央アルプスでの個体群の確立を目的としています。人工孵卵(ふらん)及び(いく)(すう)により、野生下で生きるために必要な要素を人為的に付与した個体を山に戻して定着させる取組は、令和6年度に続く実施となり、令和7年度は、飼育下育ちの成鳥の放鳥を初めて試みます。   
  ※高山植物を消化するための腸内細菌(そう)及び寄生虫への耐性の獲得
 野生復帰事業における放鳥は令和7年度が最後であり、令和8年度以降は野生復帰個体の生存及び繁殖状況についてモニタリングを実施します。環境省では中央アルプスでの個体群確立を目指し、引き続き事業を進めていきます。
 

1.令和7年度野生復帰事業スケジュールについて

野生復帰事業として、中央アルプス駒ヶ岳の頂上山荘周辺において、2回にわけて各10羽程度ずつ放鳥します。頂上山荘周辺に移送後、10日間程度のケージによる馴化作業を行い、その後放鳥します。
第1回目:  9月10日移送及びケージ収容(頂上山荘付近)
              9月19日現地での馴化後に放鳥(状況によって前後する可能性あり)
第2回目:  9月下旬(調整中)

2.令和7年度野生復帰個体について

 野生復帰事業における放鳥候補の個体の飼育園館は、市立大町山岳博物館、那須どうぶつ王国、長野市茶臼山動物園及びいしかわ動物園の4園館です。候補個体は表1のとおりで、各個体の状況を直前に見極めて野生復帰させる個体を決定します。

表1.野生復帰候補個体の内訳

3.中央アルプスの生息状況の変化について

 復活プロジェクトの開始以降、中央アルプス全体でなわばりは毎年約2倍ずつ増加してきており、令和7年度の調査結果から繁殖数は約190羽で、ライチョウの生息が可能となる範囲全てに、ほぼなわばりが形成されたことがわかりました。


図1:中央アルプスにおける推定なわばり数及び生息個体数の年変化
   (令和7年度は7月5日時点の速報値)
 

4.昨年度の野生復帰個体の足環と生息確認状況

 令和6年9月に、那須どうぶつ王国の雛2羽及び大町山岳博物館の雛5羽の計7羽を野生復帰し、令和7年度の生存状況を調査していますが、令和7年9月3日現在、那須どうぶつ王国の1羽が3月、4月及び8月に確認されているのみです。引き続き生存状況を確認していくとともに、足環の確認情報の提供を登山者らに呼びかけていきます。

表2:昨年度の野生復帰個体の足環と生息確認状況

 

お問い合わせ先

環境省信越自然環境事務所 野生生物課 福田
TEL:026-231-6573