中央アルプスにおけるライチョウの繁殖状況及びケージ保護実施状況について（続報）

１．事業概要とこれまでの成果

　環境省では、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づき、文部科学省・農林水産省と共同で策定した「ライチョウ保護増殖事業計画」（平成24 年１月）により、ライチョウの保護増殖事業を進めています。そのうち、平成30 年に約50 年ぶりにライチョウの雌１羽が確認された中央アルプス駒ヶ岳周辺において、「第二期ライチョウ保護増殖事業実施計画」（令和２年４月）及び「中央アルプスにおけるライチョウ野生復帰実施計画」（令和３年３月）に基づき、中央アルプスの個体群を復活させるための事業を進めています。
　本年度は約50年ぶりに中央アルプスでの自然繁殖が確認され、７月５日までに中央アルプス駒ケ岳周辺で孵化した３家族についてケージ保護を開始していました。

２．雛の孵化状況及び事業の実施状況について

　令和３年７月６日以降も雛の孵化確認、未保護家族のケージ保護及びニホンザルの追い払いを行いました。その結果、７月５日までに孵化が確認されていた３家族に加え、７月11日までに５家族の孵化を確認し、将棋(しょうぎ)頭山(がしらやま)から空木(うつぎ)岳(だけ)の間で計８羽の雌が計45羽の雛を連れていることを確認しました。このうち、中央アルプス駒ケ岳周辺では７月5日までに保護した３家族に加え、新たに２家族の保護を開始し、７月10日までに計５家族雛34羽について現在保護を開始しました。ケージ保護を行っている雛のうち３羽については７月15日までに死亡してしまったため、現在は計５家族31羽の雛について保護を継続しています。ケージ保護個体については動物園への導入に向けて人工飼料や野菜などへの順化も開始しました。
　ニホンザルの追い払いについては、駒ケ岳周辺のライチョウのなわばりがあるエリアを中心に定期的に巡視を行い、ニホンザルの群れが現れた場合には追い払いを実施しています。

３．今後の予定について

　ケージ保護は８月上旬まで継続する予定です。また、ニホンザルの追い払いについてもケージ保護実施期間中は継続して実施する予定です。また、ライチョウの捕食者であるテン等を捕獲するための罠を設置するなどの捕食者対策についても準備ができ次第開始します。ケージ保護期間後の日本動物園水族館協会加盟動物園への野生家族の導入については、今後のケージ保護した雛数の変化や、ケージ保護した家族の人工飼料への慣れの状況など、総合的な状況を踏まえ決定します。家族を移送できると判断した場合は、８月上旬にヘリコプター及び自動車を用いて移送を実施する予定です。
　なお、今後も中央アルプスでライチョウを目撃した場合は、静かに観察していただくとともに、中央アルプスロープウェーしらび平、千畳敷両駅や宝剣山荘に設置したライチョウ観察情報収集カードに記入いただくか、または、目撃日時、場所、標識足輪等の情報を下記の連絡先までお寄せください。

添付資料

• 表１　令和３年中央アルプスにおけるライチョウの繁殖状況及びケージ保護状況（7/15　現在）[PNG 50.7 KB]