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信越自然環境事務所

報道発表資料

2021年06月18日
  • その他

令和3年度中央アルプスにおけるライチョウの繁殖状況と今後の事業について

環境省では、中央アルプスのライチョウ個体群を復活させるための保護増殖事業を進めています。今年度の生息状況については5月末までの状況を62日に報告していますが、その後の調査により、613日時点で計5つがいの生息が確認され、うち3つがいが抱卵していることが確認できましたのでその結果をお知らせします。

1.事業概要及び5月末までの生息確認状況

 環境省では、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づき、文部科学省・農林水産省と共同で策定した「ライチョウ保護増殖事業計画」(平成24 年1月)により、ライチョウの保護増殖事業を進めています。そのうち、平成30 年に約50 年ぶりにライチョウの雌1羽が確認された中央アルプス駒ヶ岳周辺において、「第二期ライチョウ保護増殖事業実施計画」(令和2年4月)及び「中央アルプスにおけるライチョウ野生復帰実施計画」(令和3年3月)に基づき、中央アルプスの個体群を復活させるための事業を進めています。

 中央アルプスにおいては、昨年8月には乗鞍岳から移送した3家族計19 羽と平成30 年に確認された飛来個体1 羽と合わせた20個体が生息していましたが、そのうち今年5月末までには10個体の生存を足輪により確認し、その他に3箇所で足跡などの痕跡から少なくとも13個体が生存していると考えられました。

2.最新のなわばり数及び繁殖状況について

 その後も調査を継続し、6月13日までに足輪により直接生存を確認できた個体は計13個体(雄6羽雌7羽)となりました。そのうち、4つがいは駒ケ岳周辺に、1つがいは中央アルプス南部(宝剣岳から空木岳の間)の山岳になわばりを形成していることが確認できました。確認されたこれら5なわばり(5つがい)のうち3つで巣を発見することができ、現在抱卵中であることが確認されました。さらに、その後の調査から中央アルプス南部と北端にはそれぞれ1つがいが別に生息している可能性があることが糞等の痕跡からわかり、生息つがい数は7と推定されました。

 巣が発見された3巣のうち1巣は、平成30年に飛来した雌であり、飛来以後初めて自身の雛が生まれる可能性があることが分かりました。

3.今後の予定について

 これまでに駒ケ岳周辺で4つがい、それ以外の地域で1つがいの計5つがいが確認されたことから、現段階で日本動物園水族館協会加盟動物園へ野生家族2家族を導入する基準(昨年度2月に開催されたライチョウ保護増殖検討会資料参照)を満たしており、野生家族導入実施に向けての今年度の事業が進められる状況となりました。最終的には、ケージ保護した家族の飼育餌への慣れや雛数などを踏まえ、総合的に導入を実施するかどうか判断されます。

 なお、今後も中央アルプスでライチョウを目撃した場合は、静かに観察していただくとともに、中央アルプスロープウェーしらび平駅、千畳敷駅、宝剣山荘に設置したライチョウ観察情報収集カードに記入いただくか、または、目撃日時、場所、標識足輪等の情報を下記の問合せ先までお寄せください。

■ 問い合わせ先
信越自然環境事務所 野生生物課 生息地保護連携専門官 小林 篤
   TEL:026-231-6573 FAX:026-235-1226 E-Mail : ATSUSHI_KOBAYASHI@env.go.jp
(〒380-0846 長野市旭町1108 長野第一合同庁舎3 階)