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信越自然環境事務所

報道発表資料

2020年07月02日
  • その他

中央アルプスにおけるライチョウの飼育卵による野生復帰の実施結果について

 環境省では、6月7日に中央アルプス駒ヶ岳に生息しているライチョウ雌1羽が抱卵していた無精卵と動物園館から提供された飼育卵(8卵)の入れ替えを実施し、6月30日及び7月1日に現地調査を実施した結果、5卵でふ化が確認されたものの、全個体の死亡が確認されましたのでお知らせします。付近のセンサーカメラには、ニホンザルが撮影されており、ふ化途中にニホンザルがライチョウの巣を覗き、その影響により死亡した可能性があります。

1.概要

 環境省では、2018(平成30)年に約50年振りにライチョウの雌1羽が確認された中央アルプス駒ヶ岳において、2020(令和2年)4月に策定された「第二期ライチョウ保護増殖事業計画」に基づき、中央アルプスの個体群を復活させるための事業を進めています。この目標達成のため、中央アルプスに生息する雌1羽が産んだ無精卵を、(公社)日本動物園水族館協会に加盟する4園館(恩賜上野動物園、いしかわ動物園、那須どうぶつ王国、長野県大町市立大町山岳博物館)から提供された有精卵(飼育卵)計8卵と入れ替える事業(飼育卵による野生復帰事業)を6月7日に実施しました。その後、ふ化予定日の6月30日及び7月1日に現地確認を実施した結果、入れ替えた飼育卵8卵のうち5卵についてはふ化が確認されたものの、ふ化後のヒナの生存を確認することができませんでした。また、残りの3卵については、ふ化に至らなかったことを確認しました。

2.実施結果

(1)現地調査の結果

令和2年6月30日 9:00 中央アルプスロープウェイしらび平駅から現地に向けて出発。
13:15 中央アルプス駒ヶ岳頂上山荘から営巣場所に向けて出発。
13:30 現地に到着。
中村 浩志博士により営巣場所を確認したところ、雌1羽を巣の周囲で確認。

巣の中の状況を確認したところ、8卵中5卵がふ化し、巣の中には1卵が残されていたことが確認されたものの、ヒナを確認することができなかった。

15:30

巣を確認したところ、雌は残りの1卵を抱卵。
巣の周囲でヒナ4羽の死骸を確認。

16:05 巣から離れた場所で、ひびの入ったふ化直前の2卵を確認。
7月1日  6:55 頂上山荘から営巣場所に出発。
7:05

現場調査を開始後、巣の近くで雌1羽を確認。巣内で死卵1個を確認。

7:15 巣の周囲でヒナ1羽の死骸を確認。合計ヒナ5羽の死骸、死卵3個を確認。

巣の周辺でニホンザルの糞を複数確認。
※卵の殻、ヒナの死骸、死卵については全て回収し、冷凍保存

(2)センサーカメラの画像の解析結果

令和2年6月29日 午後 ヒナがふ化したものと推定
18:19~55 センサーカメラによりニホンザルが撮影
18:28 巣の近くをニホンザル2頭が横切る
18:47 ライチョウ雌が巣から離れたところが撮影

 ※上記の他、別の地点に設置したセンサーカメラの撮影画像を確認した結果、複数のニホンザル(最大10頭)が撮影されていたことを確認。

3.専門家からのコメント

 現地調査に同行した中村 浩志博士(信州大学・名誉教授)から、下記のコメントを受けています。

  • 6月30日に死亡が確認されたライチョウのヒナ5羽は6月29日の午後にふ化したものの、ニホンザルの群れが登ってきて、一部の個体がライチョウの巣に近づき、巣の中を覗きこんだため、雌が巣から飛び出したと考えられる。ヒナも雌の後を追って巣の外に出てしまったため、ヒナが散らばってしまった。
  • ニホンザルへの警戒で雌がパニック状態になったため、雌が散らばったヒナを集めることができなかった。そのため、散らばったふ化直後のヒナは短時間の間に身体が冷えて死亡したと考えられる。
  • ニホンザルは巣の中に残された2卵を取り出したが、食べることをせず、巣の近くに捨てたと考えられる。

4.今後の取組及び報道対応について

 今後、環境省では乗鞍岳でケージ保護した3家族(約20羽)を中央アルプスに移植する事業(家族の移植事業)を計画しています。

 ニホンザルによるライチョウへの影響については明確ではありませんが、ニホンザルや捕食者等のモニタリングを行いつつ、専門家の意見も踏まえながら、中央アルプスへ移送した後のライチョウ家族に対する保護対策を行います。

 なお、ライチョウの家族を乗鞍岳から中央アルプスへ移送させる際等には、現地の状況により、代表取材を受ける予定です。今後の取材対応等については、環境省信越自然環境事務所のホームページ上で公表する予定です。

(参考)ライチョウ保護増殖事業計画及び生息域内保全事業について

http://chubu..env.go.jp/shinetsu/wildlife/rockptarmigan.html

(環境省信越自然環境事務所ホームページ)

■ 問い合わせ先
環境省中部地方環境事務所信越自然環境事務所 野生生物課 
TEL:026-231-6573 FAX:026-235-1226
(〒380-0846 長野市旭町1108 長野第一合同庁舎3階)