報道発表資料

2020年06月05日

「中央アルプスにおけるライチョウの飼育卵野生復帰事業」に飼育卵を提供いただいた関係機関の情報と今後の実施予定について

 環境省では、「第二期ライチョウ保護増殖事業実施計画」に基づき、(公社)日本動物園水族館協会の協力を得て、中央アルプス駒ヶ岳において飼育卵を用いた野生復帰事業を実施します飼育卵を用いた野生復帰事業はライチョウ保護増殖事業における初めての試みです

1.中央アルプスにおけるライチョウ保護増殖事業について

 昭和44(1969)年を最後にライチョウが絶滅したと考えられていた中央アルプスにおいて、平成30(2018)年に、約50年ぶりに雌1羽が確認されました。ライチョウは雌1羽でも無精卵を産み、抱卵する習性があるため、今回確認された雌も、雛が生まれる見込みがない無精卵を産み、抱卵していました。そこで、中央アルプスに飛来した雌の無精卵を他の個体の有精卵と入れ替える事業が計画されましたが、他個体が産んだ卵を違和感なく抱卵するかについては検証されていませんでした。

 その後、平成30年にこの個体の羽毛を用いて遺伝子を解析した結果、乗鞍岳もしくは北アルプスから飛来した可能性が高いことが明らかになりました。これらの結果に基づき、「ライチョウ保護増殖検討会」での議論を踏まえ、令和元(2019)年に雌の産卵が確認されたことから、孵化率が高い、乗鞍岳に生息する野生のライチョウから採取した卵による卵の入れ替え試験を実施しました。その結果、5羽の雛が孵化しましたが、全ての雛は10日後に死亡してしまいました。このことから、ライチョウは他個体が産んだ卵を入れ替えても抱卵を継続し、雛が孵化することが明らかになりました。保護増殖検討会や専門家の意見を踏まえ、飼育卵の有精卵率の向上や卵移送技術が確立されたことや野生の個体群に与える負荷を軽減するため、本年度は、飼育下の個体が産んだ卵(飼育卵)を用いた事業を計画しました。

 令和2年5月20から22日実施した現地調査の結果、今年も中央アルプス駒ヶ岳周辺で雌が生存していることが確認されたことから、本年度は、公益社団法人 日本動物園水族館協会の協力を得て、飼育卵を用いた野生復帰事業を実施することが決定しました。飼育卵を用いた野生復帰(生息域外から個体を生息地(過去の生息地を含む)に再導入する手法)事業は、ライチョウの保護増殖事業の中では初めての試みです。

2.ライチョウ域外保全の経緯

 2015年 乗鞍岳から10卵を恩賜上野動物園、富山市ファミリーパークの2園(各園各5卵)を導入。

     10卵中9卵が孵化し、3羽(全て雄)が無事生育

 2016年 乗鞍岳から12卵を恩賜上野動物園、富山市ファミリーパーク、大町山岳博物館の3園館

    (各園各4卵)を導入

 2017年 那須どうぶつ王国において飼育開始

 2018年 いしかわ動物園において飼育開始

 2019年 横浜市繁殖センターにおいて飼育開始(今年は繁殖を行わないため卵提供に不参加)

 2020年 5月1日現在 全国6園館で計42個体のライチョウを飼育中

3.本日(令和2年6月5日)までに提供を受けた飼育卵について

 恩賜上野動物園   2卵 (6月3日 13:00頃 中央アルプス観光到着)

 いしかわ動物園  2卵 (6月4日 12:15頃      "     )

 那須どうぶつ王国 3卵 (6月4日 14:45頃      "     )

 大町山岳博物館  1卵 (6月4日 16:00頃      "     )

      合計  8卵

※ 産卵日等の詳細は、(公社)日本動物園水族館協会が作成した資料を参照願います。

4.今後の調査について

・令和2年5月の調査において、雌が生存のみ確認。巣・卵については未発見。

・令和2年6月5日から、中央アルプス駒ヶ岳一帯で巣・卵の探索調査を開始。

・巣が確認された後、抱卵中の雌が採餌のために巣を離れた際に、無精卵と飼育卵の入れ替えを実施予定。なお、巣の発見時の状況、雌の繁殖ステージによって、入れ替えの時期を決定。

 (参考)ライチョウの産卵習性等について

・ライチョウは2日に一度の頻度で産卵し、産卵時にのみ巣を訪れる習性をもつため、産卵期に巣を見つけることは非常に困難。

・全ての卵を産み終えた後、雌は抱卵に入る。1日数回1回、約20から30分間、餌を食べるために巣を離れるため、抱卵中の巣の捜索は比較的容易。抱卵開始以降は巣に執着するようになるため、抱卵初期は卵の入れ替え時期として最適。

5.取材対応について

○ 新型コロナウィルス感染症蔓延防止、及び希少種保全の観点から、飼育卵の入れ替えの実施等に係る高山帯での取材には応じることができません。ご理解をお願いいたします。

○ 飼育卵の入れ替え実施後には、できる限り早い段階で、結果の概要、撮影画像・動画を提供できる体制を整えた上で公表します。この報道発表の翌日(又は翌々日)に、会見(会場は信越自然環境事務所を想定していますが、変更の可能性もあります。)において、実施結果の詳細について報告する予定です。本事業に係る質問や中村 浩志博士のコメント等については、会見時に取材していただくことができます。

(参考)ライチョウ保護増殖事業計画及び生息域内保全事業について

http://chubu.env.go.jp/shinetsu/wildlife/rockptarmigan.html

(環境省信越自然環境事務所 ホームページ)

■ 問い合わせ先
環境省信越自然環境事務所
野生生物課 生息地保護連携専門官 小林 篤
TEL:026-231-6573 FAX:026-235-1226
E-Mail : ATSUSHI_KOBAYASHI@env.go.jp
(〒380-0846 長野市旭町1108 長野第一合同庁舎3階)
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