報道発表資料

2016年06月14日

(お知らせ)カラスによるライチョウの卵の捕食について

 乗鞍岳で実施しているライチョウのファウンダー確保事業で発見した巣の卵を、ハシブトガラスが捕食したことが、巣の近くに設置したセンサーカメラ映像で明らかになりました。この巣は全ての卵が捕食され、採卵候補の巣が1つ失われました。カラスは登山者が放置する生ゴミ等につられて、本来の生息地ではない高山帯に進出してきています。高山帯における新たな捕食者として貴重な生態系を攪乱するおそれがあり、今回の事業にも影響を及ぼしています。高山帯の生態系を保全するためにも、登山においては生ゴミを放置しないなどマナーを守っていただくようお願いします。

1.捕食状況

日時:センサーカメラの映像から、捕食されたのは平成28年6月3日(金)午前7時から12時の間

7時45分にライチョウの巣の近くにハシブトガラスが飛来し巣をのぞき込む様子が確認されています。9時42分に卵をくわえている様子が撮影され、最後に巣から出てくるところが撮影された12時43分までに、卵をくわえている様子が計4回撮影されています。

2.捕食された巣の確認状況

場所:乗鞍岳山頂付近(長野県側)県境ゲート付近の浅いハイマツの茂みの中

平成28年5月26日(木)8時頃に巣を発見し、発見時には巣の中に4個の卵が確認されていました。5月28日(土)には13時過ぎに6卵で抱卵しているのを確認していました。5月30日(月)にも抱卵中であることを確認していたところ、6月5日(日)の確認で巣に卵がなく、捕食されたことを確認しました。

3.乗鞍岳のライチョウの減少

ライチョウの乗鞍岳における生息個体数は1983年から2004年までに断続的に行われた調査では140羽から170羽程度と推定されていました。最近では2009年の240羽(110なわばり)をピークに年々減少し、今年は50なわばり程度と半減しています。

4.高山帯でのカラスの脅威

生ゴミの放置等の人為的な要因により、1970年代頃より高山帯でカラスが確認されるようになりました。カラスはライチョウの卵やヒナの新たな捕食者として脅威であると以前から危惧されていました。絶滅が危惧されるライチョウがカラスの脅威を受けており、ライチョウの繁殖に影響を及ぼすことが懸念されます。

5.乗鞍岳におけるカラスの確認状況

1930年代は標高2,400m以上の本州中部の高山帯でのカラスの確認はなく、1970年代でまれに高山でカラスが確認されるようになりました。乗鞍岳は1980年代頃にハシブトガラスが2羽程度観察されるようになりました。5月下旬から6月上旬に実施された平成28年度のファウンダー確保事業の調査中にも、日中に2羽程度のカラスが常時確認されていました。

6.カラスによる捕食の報告

  1. 立山ではハシブトガラスがライチョウの巣を襲い卵を外に持ち出すことが富山雷鳥研究会で報告されています(松田2002)。ハシブトガラスによるライチョウの卵の捕食が確認されたのは今回で2例目になります。
  2. 乗鞍岳において、10年以上前に、県道の落石防止ネットの中に入り込み出られなくなった成鳥のライチョウをハシブトガラスがつつき殺す様子が目撃されています。
  3. 乗鞍岳において、2011年7月に信州大学名誉教授の中村浩志氏がライチョウの家族を観察中に、孵化したばかりのヒナ6羽のうち1羽をハシブトガラスが捕食したのを目撃しています。

7.対策の検討

長野自然環境事務所では乗鞍岳におけるカラスについて、捕獲を含め対策を検討していきます。

添付資料

■ 問い合わせ先
環境省長野自然環境事務所(直通:026-231-6573)
所長:中山隆治
次長(野生生物課長):伊藤勇三
自然保護官:福田真
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