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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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上信越高原国立公園 谷川

70件の記事があります。

2015年09月11日特定外来生物 オオハンゴンソウ除去作業

上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平

こんにちは、谷川の小竹です。

8/23、特定外来生物であるオオハンゴンソウの除去作業を行いました。

特定外来生物とは、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)で「生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるもの」として特定された海外起源の生物です。飼育、栽培、保管、運搬、輸入、野外への放出、植える及びまくことは禁止されています。

オオハンゴンソウは北アメリカ原産で、寒さや湿地に強く盛んに繁殖するため、日本国内で在来種の植物を駆逐し、その減少の原因とされています。そのため外来生物法で特定外来生物に指定され、全国各地で花を咲かせる時期(8月)に除去作業が行われています。

谷川地域では谷川岳エコツーリズム推進協議会が「特定外来種除去ツアー」という形で一般の参加者も募り、従来の生態系を守るための啓発を併せた除去作業を行っています。

一般参加者の親子連れの方々もやり方を教わりながら、作業に参加しました。

オオハンゴンソウの黄色い花がたくさん咲いていた場所も、作業後はすっきりと除去されました。

オオハンゴンソウは根が残っていると再生するので根こそぎ引き抜き、焼却処分します。

この日は、重さにして約140kgのオオハンゴンソウを除去しました。

作業後は群馬県自然保護連盟の方に在来種の植物解説をしていただきました。

外来生物を除去し、在来種の理解を深める。この2つのアクションが従来の生態系の保護に必要だということがよく分かりました。

なお、外来生物除去活動のイベントを行う上での注意点があります。事前にイベント内容を公表することや、除去した特定外来生物を運ぶときは、袋に入れて口をしばるなど運搬の途中で落としたり、種が飛散しないように注意し、最終的に焼却施設等で処分される必要があります。

詳しい内容については下記のウェブサイトと文書を参照してください。

http://www.env.go.jp/nature/intro/4control/bojooutline.html

http://www.env.go.jp/nature/intro/4control/files/tuuchi_plant.pdf

今回参加したオオハンゴンソウ除去ツアーは今年3年目で、以前よりはオオハンゴンソウの数が減ってきています。長い年月をかけて成果を上げていくためには、オオハンゴンソウの根にも負けない位の根気と、多くの方の活動への理解が必要です。

外来生物除去活動、機会があれば是非参加してみてください。

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2015年08月17日山に親しむ 「山の日」制定記念プロジェクト

上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平

こんにちは、谷川の小竹です。

8/8(土)谷川岳山の日制定記念プロジェクトが開催されました。

谷川岳山の日制定記念プロジェクトとは、2016年から8/11が「山の日」として国民の祝日に制定されたことを記念するプレイベントです。

様々な方が谷川岳を楽しめるように、軽い散策から峠越え、縦走、クライミングに至るまで、レベルや目的に応じて計7種類のツアーが組まれました。

今回私は引率者の一人として谷川岳山麓歴史ツアーに同行しました。

谷川岳山麓歴史ツアーは、谷川岳の歴史や周辺植生について谷川岳エコツーリズム推進協議会のインタープリター(ガイド)の方の解説を聞きながら、

谷川岳の湯檜曽川沿いの新道と旧道をゆったり散策するツアーです。

参加者はインタープリターの鈴木さんの解説を聞きながら写真やメモをとり、ゆったりとした山歩きを楽しんでいました。

参加者の中には植物にとても詳しい方もいらっしゃり、インタープリターの解説の前に植物の名を言い当てたりしていました。

私は今回初めてインタープリターの方と山に入りましたが、登山道の各所で地形や生き物、歴史など谷川岳の様々な知識を駆使し解説する姿はまさに谷川岳の先生でした。

来年から始まる「山の日」、多くの方にいろんな形で山に親しんでもらいたいと思います。

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2015年08月12日運転再開! 谷川岳ロープウェイ

上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平

こんにちは、谷川の小竹です。

先日7/20の大雨の影響で運休していた谷川岳ロープウェイが8/13(木)、AM8:00から運転を再開するとのことです。

再開を待ち侘びていた方も多いと思いますが、ぜひお越しください。

また、ロープウェイの上にある峠リフトは8/19以降再開見込みとのことです。

 詳しくは谷川岳ロープウェイのウェブサイトをご覧ください。  www.tanigawadake-rw.com

また、同じく大雨で荒廃の進んだロープウェイ下の田尻沢は整備中とのことですので、立ち入り禁止となっています。

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2015年08月12日蓬ヒュッテ 竣工式

上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平

こんにちは、谷川の小竹です。

8/8(土)に谷川岳北側の蓬(よもぎ)峠にある蓬ヒュッテの竣工式が行われました。木村レンジャーが参加したのでその様子をお伝えします。

蓬ヒュッテは7月の日記(大源太山)で改修工事の様子を紹介しましたが、谷川岳馬蹄形縦走路にある山小屋です。

式には湯沢町長をはじめ、地元の山岳関係者や改修工事の寄付をされた早稲田大学生物同好会のみなさんが参加し一般の方も訪れました。

新しく生まれ変わった蓬ヒュッテの様子です。内も外もとても綺麗です↓売店もあります。

蓬ヒュッテ付近は馬蹄形縦走路の中でも一面に広がる草原が特徴で、眺めが良く、高山の花を楽しめます。

馬蹄形縦走はもちろん、土樽方面からのアクセスもいいので日帰りでも十分楽しめます。土樽駅-蓬峠-土合駅のコースもおすすめです。

蓬峠は比較的手軽に高山の草原景観を楽しめるところです。生まれ変わった蓬ヒュッテを利用してこの景色を味わいに来てください。

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2015年08月05日奥深い渓谷 清津峡

上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平

こんにちは、谷川の小竹です。

7/15、新潟県十日町主催の清津峡の登山道のパトロールに参加しました。

清津峡は新潟県十日町市中里地域、湯沢町にまたがる渓谷で、清津峡温泉は日本三大峡谷の一つとして知られ、渓谷の断崖絶壁と水量豊かで青く澄み渡った渓流が魅力です。

以下、清津峡登山道の様子をご紹介します。

スタート地点の清津峡温泉から急登が続きます。ナラ枯れが多く大きな倒木も多いです。↓

基本は樹林ですが、清津峡を眺められるポイントが時々あります。

因みにこのコースは昔炭焼きの為に拓かれた道も含まれているらしく、炭焼き窯跡も途中で見られます。

登りきると日向の肩に出ます。視界も開け、一休みするには最適です。

ここから先は落石しやすい急斜面でロープやはしごが続き、道が細く険しい道が長く続く上級者向けコースです。上級者でない方は日向の肩で清津峡温泉に引き返しましょう。

日向の肩直後からロープの急な下り坂が始まります。ロープは地元消防の方などが必要に応じて整備していますが、ロープの張り具合を確かめながら下るようにしましょう。落石にも要注意です。↓

長い下りの末、足尾沢橋で清津川に出会いました。

冷たい渓流で空気はヒンヤリ、気分もスッキリしました。↓

しかし奥深い清津峡登山道、ここでまだ中間の少し前です。更にここからアップダウンを繰り返します。

高石沢。水量が増えた場合は少し上流に登って渡渉します。沢の石は滑りやすく、橋もありません。↓

鹿飛橋。ここから先は道が徐々に広く、平坦になっていきます。上級者でない方は湯沢町八木沢からここまでのコースを利用してください。↓

ブナ林や清津川を眺めながら長い平坦な道を行きます。↓

長旅を労うように湧出る水。疲れた体においしい水がしみわたります。

ゴールの八木沢までもう少しです。↓

この日は全行程を歩き切るのに実動タイムで10時間近くかかりました。

清津峡登山道の全てを歩き通すのは、難所が連続する長丁場で上級者向けです。

上級者でない方も清津峡温泉~日向の肩と八木沢~鹿飛橋までは、渓谷の山歩きを楽しめますので是非お出かけください。

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2015年07月28日夏の息吹 大源太山(湯沢町)

上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平

こんにちは、谷川の小竹です。

夏を迎え、山でもいろいろな生き物が活発に活動しています。

今日はそれをよく感じた湯沢町の大源太山に歩道調査へ行った時のことを書きます。

谷川山域には二つの大源太山がありますが、今回登ったのは谷川岳馬蹄形縦走路の近くにあり、麓にある大源太キャニオンは新潟県湯沢町が誇る観光地の一つです。

大源太山ではたくさんの生き物に出会いました。その一部を紹介します↓

急登の樹林帯の途中、スズメバチに付きまとわれました。

最初は挨拶代りと言わんばかりに私の頭に体当たり。その後は私と木村レンジャーの周りをブンブン飛び回り、時々木村レンジャーのザックに停まってひと休み。それが10分くらい続きました。

近くに巣があったのでしょうか。写真がなくてすみませんが、スズメバチにはくれぐれも注意しましょう。

 

切り立った尾根道の途中、ニホンザルの群れに遭遇しました。

ガスの濃い中、犬の吠える様な鳴き声が聞こえるなと思ったら、谷下の白樺に飛び移るサルが数匹、10m位先の狭いコース上には小ザルとボスザルと思われる大ザルがでんと構えています。

先に進めず困りましたが、しばらくして道を開けてくれてくれました。

よい写真がなくてすみませんが、コース上にあったサルのフンがこれです↓
見つけたらサルが近くにいるかもしれないので注意しましょう。

 

大源太山山頂の様子。無数のトンボが飛び交っています。ハエやブヨを食べてくれます↓

 

稜線のニッコウキスゲ。コース沿いに咲き乱れ、見事なニッコウキスゲロードを作っています↓

 

ササが刈り払われた稜線にいたアカアシクワガタのメス。近くのナラの木から出てきたのでしょうか↓

 

他にもヘビやキジなど、いろいろな生き物に出会いました。

夏山は生物の多様性を実感できる貴重なフィールドの一つです。

夏山では熱中症や生き物への配慮を心がけていきましょう。

また、今回、改修工事中の蓬ヒュッテの様子も見に行きました。

 

屋根や被覆材の取り付けが行われている所でした。

改修工事は7月中に終了の予定で、8/1(土)から宿泊可能になるそうです。

谷川岳の馬蹄形縦走をご計画の方、ぜひお越しください。

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2015年07月24日注意!谷川岳田尻沢

上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平

こんにちは、谷川の小竹です。

先日(7/20)みなかみであった局所的豪雨の影響が谷川岳で出ています。

まず土合―天神平間のロープウェイ、リフトが運休しています。

現在復旧作業が行われていますが、すくなくとも7月中は利用できないそうです。

また、土砂崩れにより田尻沢が荒廃しています。

以下7/24現在の田尻沢の様子です↓

復旧作業で重機が動いています。

下に埋まっていたコンクリート管が激流で掘り起こされています。

鉄の橋が崩落しています。

ロープウェイが運休しているため、徒歩で土合と天神平をつなぐ田尻尾根を通ろうと計画される方もいるかもしれませんが、現在は復旧工事のため立ち入り禁止となっています。

道が復旧するまでは、西黒尾根や巌剛新道など、ほかのルートを通るようにしてください。

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2015年07月13日ヤマビルについて

上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平

こんにちは、谷川の小竹です。

すっかり夏になりましたが、夏山の注意事項の一つがヤマビルです。

ヤマビルは落ち葉や地面にそっくりな茶色。そして痛み止めのような物質を分泌しながら吸血するので、注意しないとこちらからは気付きにくいです。

逆にヤマビルは動物が歩く時の地面の振動、呼吸して出る二酸化炭素や体熱などに反応し、吸血しようとこちらに近寄ってきます。

私も靴先に着いた土の塊だと思っていたものが突然グンと伸び、ヤマビルとわかってびっくり、というようなことが何回かありました。

そして、落ち葉や枯れ枝が溜まった所を目を凝らして見たり、葉のついた落ち枝を持ち上げてみたりすると、シャクトリムシのように動き回るそれを見つけることがあります↓

ヤマビル対策については、インターネット上にいろいろ情報が載っているので参考にしてください。

基本的には長ズボンや長靴などで足周りを固め、入山前に高濃度の塩水や酢、専用の忌避剤などをかけておき、行動中もスプレーボトルに入れて手元に携帯するとよいと思います。

そしてパーティの場合は前後の人同士で足元を確認しあいましょう。

私は、ヤマビルがでるエリアでは、こまめに足回りをチェックし、靴に登ってきたヤマビルを見つけては撃退するようにしています。

また、山に登る時は事前にヤマビルが出るか調べるのをお勧めします。

ヤマビルで不快な思いをしないために、しっかり準備しておきましょう。

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2015年07月06日谷川岳 山開き

上信越高原国立公園 小竹俊平

こんにちは。谷川の小竹です。

7/5(日)、谷川岳の山開きが行われました。

式は朝4:00にスタート。会場ではかがり火や灯篭のツリーが夜明け前の肌寒い空気を温かく照らし、用意された豚汁が登山者の体を温めていました。

東京からは麓の土合駅行の夜行列車が運行され、会場付近は日の出前から多くの登山者で賑わっていました。

谷川岳 山開き

式では地元の三国太鼓の演奏、登山安全を祈願する神事、来賓の方々と関係者の挨拶が行われ、

今後の谷川岳登山の益々の振興と登山安全を皆で祈願しました。

 

 

登り初めの儀式を行い、式は終了。

昨晩から雨が降っており天気がかなり心配でしたが、徐々に雨が止み、式が終わるころには空はすっかり明るくなりました。

その後も天気は崩れることなく、山開きの日はめでたくよい登山日和になりました。

7月に入り、これから紅葉の秋にかけて本格的な登山シーズンとなります。山に登る方が増えると思いますが、安全登山を心がけていきましょう。

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2015年06月26日就任のご挨拶

上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平

6月から谷川自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーに就任しました、小竹俊平と申します。

就任してから一か月経ってからの就任挨拶で申し訳ありません。

学生の頃から山が好きで、日帰りからテント縦走まで、たくさん登ってきました。

今年4月に新設された谷川事務所の国立公園の保護管理を充実させるべく、これからもどんどん現場に繰り出していこうと思います!

最近登った山の中で、お気に入りの一枚です↓

朝日岳でホソバヒナウスユキソウが見頃を迎えていました。

このホソバヒナウスユキソウ、谷川地域と尾瀬の一部にしか自生しない貴重な高山植物で、

音楽の教科書に歌が載っている「エーデルワイス」の仲間です。

岩場に群生している姿がとても涼しげで見事です。このような希少で貴重な風景を守っていきたいですね。

これからも、担当する谷川・苗場地域の様子を発信していこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

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