上信越高原国立公園 谷川
70件の記事があります。
2018年08月29日オオハンゴンソウ除去活動
上信越高原国立公園 谷川 荒井 歩
谷川岳の麓の土合地域で、特定外来生物のオオハンゴンソウ 除去活動が行われました。
今年で6回目になる活動で、この活動のおかげで付近のオオハンゴンソウは年々減少しているようです。
(オオハンゴンソウの詳しい説明はこちら)
集合場所の土合周辺は自然の中でのアクティビティや群馬県境稜線トレイルの開通でとても賑わっています!
駐車場は朝から満車でした。
今回のオオハンゴンソウ除去活動には前橋方面から「ぐんま環境学校(エコカレッジ)」の方が参加して下さり、全員で50名近くの人が集まりました。
まずはオオハンゴンソウを引っこ抜いていく作業です。
できるだけ根っこを残さないように抜いていくのですが、この時期は他の植物も繁茂しているので茂みの中に頭を突っ込んで作業しなくてはなりません。大変!
そして次は花や実と茎を分ける作業です。
特定外来生物は移動が禁止されており、特に花や実などの生殖器官にあたる部分は移動が法律で固く禁じられています。
死んだ状態(植物なら完全に枯れた状態)にすれば持ち運びが可能なので、基本的にはその場で枯らすことが多いのですが、オオハンゴンソウは枯らすとゲル状になって異臭を放つそうなので、できるだけ枯らす量を少なくするために花と茎を分けるそうです。
例年だと花が咲く前に除去活動を行っていたそうなのですが、今年は花が咲く時期が異常に早かったそうです。
除去作業も一段落したところでスイカを頂きました!
この活動で中心になって動いて下さっている方の家で作られているスイカで、とっても甘くておいしいスイカでした。お話しによるとこのスイカ目当てに活動に参加している人もいるのだとか。
その後は県自然研究会の方がミニ観察会をして下さりました。
まずは動物から。イノシシは牙が伸びたら堅い木などにこすりつけてすり減らすそうなんですが、すり減った後は年輪のような模様が見られます。また、すり減らすと言うことは牙を研いでいることにもなるようで、縁の方を触ったらカミソリのように鋭かったです。やっぱりちょっと怖い・・・。
そして植物の観察会も。付近の植物を丁寧に紹介して下さりました。
観察会もあり、スイカもあり、盛りだくさんのオオハンゴンソウ除去活動でした。参加された方々も満足した顔で帰って行かれました。この活動を通して、改めて外来種問題について考える機会になれば良いなと思います。
2018年08月01日上信越歩道線パトロール
上信越高原国立公園 谷川 荒井 歩
環境省では苗場山山頂付近の木道を整備していて、施工をお願いしている新潟県の関係者と一緒に和田小屋から神楽ヶ峰を通って山頂へ行きました。
前回、別件で来たときは6月の初めでまだ雪で道が埋まってしまっている状態でした。
そのため、7月になり雪も溶けきったところで歩道等の調査を行いました。
(↓上は6月初めの写真で、下が今回行ったときに撮った同じ箇所の写真)
この登山道のすごいところは休憩場所がしっかり整備されているところです。
広いスペースを使って綺麗なベンチが設置されているので、ゆったり休むことができます。登山道を外れる必要も無いので、木道と同じように周辺の植物にとっても優しいですね!
今回、一番問題になっていたのは歩道の洗掘。登山道での洗掘とは、主に雨や流水などで地面が削られてしまうことです。
下の写真でも洗掘防止のために杭が打たれているのですが、残念ながら水の勢いが強すぎるのか杭の下の地面ごと削られてしまったようです・・・
放置すると洗掘が進むので、改善策を現地で関係者と一緒に考えました。
ところで、上の写真の右端に写っているので気になっている方もおられるかもしれませんが、この時期はニッコウキスゲが見頃でした!
ちなみに、この場所の名前は「お花畑」。分かりやすくて良いですね。
写真の「お花畑」の後ろに見えているのが苗場山頂の一部です。
あと少しで苗場山山頂の全貌を見られる!と意気込んで最後の急騰を登ると・・・
広い!広すぎる!
全貌なんて確かめようもありませんでした。しかも上の写真で撮ったのは面積的には狭い方面だそうです。広い方面は晴れていても先が見えなさそうですね。まさに高原。
山頂では木道の整備が着々と進んでいるようで、しっかり整備されていました。
また、ワタスゲが見頃でした。湿原にワタスゲが広がっていると、天気が曇りでも幻想的で見応えがあります。
パトロールを行い、今後の課題を確認しながら苗場山の良さを知ることができました。
今回のコースタイムは往復8時間です。山頂湿原の広さと美しさは言葉で言い表しきれないので直接見ていただきたいです!ぜひ苗場山におこし下さい。
2018年07月17日谷川岳開山式
上信越高原国立公園 谷川 荒井 歩
少し前のことになってしまいますが、7月1日に谷川岳で開山式が行われました。
朝4時から始まり周りはまだ真っ暗でしたが、開始前から多くの方が来られていました。
開会式は三国太鼓さんによる演奏から始まりました。
暗闇の中で響く和太鼓は迫力がありました・・・!
開山式は無事執り行われ、いざ谷川岳へ!
ロープウェイに乗って天神平まで行くとそこで待っていたのは・・・
一面の雲海!とてもきれいでした。2000mない山だということが信じられないような景色に驚かされます。
苗場山もきれいに見えました。更に目をこらすと・・・
遠くにも山が見えます。なんと白馬岳とのこと!群馬から長野を通って富山までの空がずっと澄み切っていたと言うことでしょうか。とても気持ちいい景色でした!
そして今回も多くの高山植物に出会えました。
左上:イブキジャコウソウ、右上:タカネバラ
左下:タテヤマリンドウ、右下:ホソバヒナウスユキソウ
もちろんこの花以外にもたくさんの花が咲いていました。
谷川岳は途中までロープウェイが通っていることから初心者の方にもオススメできる山です。ぜひお越しください!
■宣伝
越後妻有文化ホール・十日町市中央公民館「段十ろう」にて、アクティブ・レンジャー写真展を開催しています。ぜひお立ち寄りください。
会期:7月7日~7月19日(7月9日は休館日)
時間:9:00~22:00
2018年07月12日谷川岳開山式
上信越高原国立公園 谷川 荒井 歩
少し前のことになってしまいますが、7月1日に谷川岳で開山式が行われました。
朝4時から始まり周りはまだ真っ暗でしたが、開始前から多くの方が来られていました。
開会式は三国太鼓さんによる演奏から始まりました。
暗闇の中で響く和太鼓は迫力がありました・・・!
開山式は無事執り行われ、いざ谷川岳へ!
ロープウェイに乗って天神平まで行くとそこで待っていたのは・・・
一面の雲海!とてもきれいでした。2000mない山だということが信じられないような景色に驚かされます。
苗場山もきれいに見えました。更に目をこらすと・・・
遠くにも山が見えます。なんと白馬岳とのこと!群馬から長野を通って富山までの空がずっと澄み切っていたと言うことでしょうか。とても気持ちいい景色でした!
そして今回も多くの高山植物に出会えました。
左上:イブキジャコウソウ、右上:タカネバラ
左下:タテヤマリンドウ、右下:ホソバヒナウスユキソウ
もちろんこの花以外にもたくさんの花が咲いていました。
谷川岳は途中までロープウェイが通っていることから初心者の方にもオススメできる山です。ぜひお越しください!
■宣伝
越後妻有文化ホール・十日町市中央公民館「段十ろう」にて、アクティブ・レンジャー写真展を開催しています。ぜひお立ち寄りください。
会期:7月7日~7月19日(7月9日は休館日)
時間:9:00~22:00
[A1]前述の雨のおかげで空気が澄んでいた、的な表現でいかがでしょう?
2018年06月05日平標山開山式
上信越高原国立公園 谷川 荒井 歩
5月27日に平標山で開山式が行われました。
(写真手前の建物は平標山ノ家、奥の山が平標山です。)
平標山ノ家の前の広場で開山式を行い、関係者の方と一般参加の方合わせて50名近い方が参加されました。
平標山は群馬県と新潟県の県境に位置することもあり、多くの人に愛されている山だと、来賓の方々の挨拶を聞いていて思いました。
道中は色とりどりの植物の花を見ることができました。
2000mに満たない山でありながら、ミツバオウレン等の高山性植物も目にすることができました。
また、山頂からは苗場山がきれいに見えました。↓(写真中央)
ちなみにこちらが大峰山(5月14日に投稿したアクティブ・レンジャー日記で紹介した、開山式を行った場所です。詳細はこちらです)方面です。↓
どちらも山頂が削り取られたかのように平たくなっています。平標山から見渡すことのできる面白い光景の一つです。
コースタイム往復4時間半程度の登りやすい山でした。また、谷川岳から続く縦走コースの一部にもなっていますので、多くの方が楽しめる山かと思います。
ぜひ平標山におこし下さい!
※登山を行う際は、持ち物や現地の状況を調べるなど、事前準備をしっかり行って下さい。
2018年05月31日マチガ沢開通!
上信越高原国立公園 谷川 荒井 歩
5月25日に一ノ倉沢の交通規制が解除されました!(詳細は文末をご確認ください)
その準備段階として5月23日に谷川岳のマチガ沢に環境省が管理している橋が架かりました。
マチガ沢は谷川岳の麓にある沢の一つです。
冬季は積雪等のため、清水新道にあるマチガ沢の橋を外しております。
(詳しくは4月26日投稿の「谷川からはじめまして」を御覧ください!最後に出てくる沢の場所です。)
今回はその橋を架けました。
簡易の橋ですが設置はとても一人でできるものではなく、当日は地域の関係者の方々が設置してくれました。
当日は午後から雨の予報だったにもかかわらず、午前中からポツポツ降り始めていたので少し焦りましたが・・・
橋は無事完成!頑丈な橋ができあがりました!
(当日は天候が悪く、バタバタしていて写真を撮り忘れてしまったので、この写真は後日行ったときに撮ったものです。)
新緑がまぶしい季節、谷川岳にぜひ遊びに来て下さい!
(なお、谷川岳周辺はまだまだ冷え込むこともあるので防寒具や雨具、山の方に行かれる方は出発前に現地の情報を調べるなどしっかりとした準備をしてお越し下さい。)
※谷川岳一ノ倉沢道路は5月25日から11月20日まで、マイカー規制が実施されている区間です(11月20日から5月25日までは冬季閉鎖されています)。
2018年05月14日大峰山開山式
上信越高原国立公園 谷川 荒井 歩
5月1日に大峰山山開き登山者安全祈願祭が行われました。
大峰山は群馬県利根郡みなかみ町にある、標高1255mの山です。
標高が低めなこともあって、大峰山はすっかり新緑に包まれていました。
祈願祭の会場まで歩いている途中、水たまりの中になにやら白い物体を見つけました。
おもち・・・?白玉・・・?
これは、クロサンショウウオの卵です。産卵から4~5週間でふ化そうなのでそれまで頑張ってほしいです。(水たまりの水はもう少しで干上がりそうでした・・・)
祈願祭は吾妻耶山の山頂で行われました。
山頂には石の祠が3つも!昔の人はこれをどうやって運んだのでしょうか・・・?想像が膨らみます。
3つの祠にはそれぞれ近隣の地域の名前が書いてありました。
登山者の安全が祈願され、開山祭は無事執り行われました。
吾妻耶山からは谷川岳がよく見えました。もっと天気のいい日には苗場山や武尊山もはっきり見えるそうです!
ツツジ、カエデ、アジサイと季節ごとに楽しめそうな植物が生えていたので何度も来てみたくなる山でした。吾妻耶山、大峰山にぜひお越しください!
追記:吾妻耶山・大峰山に登る際は、ヒル対策をしっかりして下さい。
2018年04月26日谷川からはじめまして
上信越高原国立公園 谷川 秋本周
はじめまして!
4月から谷川自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーに就任いたしました荒井です。
仕事が始まって毎朝通勤で美しい谷川岳を眺める度に、都会では味わえないぜいたくだなぁ・・・と癒しをいただいています。早く登りたいです。
これから谷川・苗場地域のことやアクティブ・レンジャーの仕事のことなど、沢山の魅力を発信していけるようになりたいと思いますのでよろしくお願いします!
23日に管理する施設の融雪後の状況を確認しに現場へ行きました!
ここで下の写真を御覧ください。
なんだとおもいますか?少しかすれた文字を読んでみると・・・
そう、正解は橋です!なんでも土砂災害があったらしく、橋がまるまる飲み込まれて今の状況になってしまったようです。
現場はこの先なのにどうするのだろう?と思っていたら一緒にいた自然保護官が
「橋げたを渡ります」ということで、小学校の平均台のようにバランスをとりながら橋げたを渡りました。
てくてく歩いてしばらくすると駐車場に出ました。
積雪等の影響で運ばれてきたらしく、岩がゴロゴロしていました。自分は冬明け直後の山は初めてだったのでこういった光景も新鮮に感じます。
さて! いくぞー!と意気込んだ直後に目の前に現れたのが・・・
沢!
この沢の上流にある国道の交通規制が解除される頃には木の橋を架けて通れるようにするのですが、雪解け水が出ている今は岩伝いに越えていくのにはちょっと水量が多すぎる・・・と、いうことで今回はここまででした。
大自然と関わりながら仕事をするということの面白さと難しさを感じることができた現場確認でした。今回は現場のほんの一部しか行くことができませんでしたが、アクティブ・レンジャーの仕事はまだまだ始まったばかり、ということでこれから少しずつ色々なことを学び、お伝えしていければと思います!
写真も文章もまだまだかと思いますが、頑張っていこうと思いますのでよろしくお願いします。
2017年02月21日2017年シーズン、活動開始!
上信越高原国立公園 湯原敦子
2月18日、群馬県登山指導センターの開所式が行われました。
このセンターは、昭和41年12月20日に制定された群馬県谷川岳遭難防止条例により、設置された施設です。約50年の歴史を持ち、谷川岳登山の安全を、長い間、見守ってきました。
■群馬県谷川岳遭難防止条例制定までの経緯■(群馬県谷川岳登山指導センターHPから抜粋)
『谷川岳はその独特の山容から年間を通じて多くの登山者が訪れ、
中でも一ノ倉岳を中心とする急峻な岩場地帯には、滑落の危険にもかかわらず、
登坂成功の喜びと達成感を得るため、多くのクライマーが果敢に挑戦しています。
遭難防止条例が制定された昭和41年までには455人にのぼる登山者が、尊い命を落とし、
特に昭和41年には37人もの命が失われています。
この当時の登山者には、登山経験が未熟なうえ、十分な登山計画や山岳装備を持たず
に入山するケースが多く、また天候の急変など様々な原因が影響し、遭難事故に至っています。
このため、これらの不慮の事故発生を防止し、かけがえのない尊い命を守るため、
群馬県谷川岳遭難防止条例が制定されました。
この条例では、特に死亡事故の発生数が多い、
一ノ倉岳から南面の山域を登山危険地区と位置づけ、ここへ入山する登山者に対し、
登山届け、又は登山計画書の提出を義務づけることにより、遭難事故を未然に防止し、
登山に対する心構えと、安全啓発を行うことを目的としています。』
当日は、雪混じりの強風が吹く中、約20名が出席しました。
【関係機関】群馬県観光局観光物産課
登山指導員
群馬県警沼田警察署
谷川岳警備隊
谷川岳ロープウエー株式会社
みなかみ町長(代理:観光商工課)
群馬県山岳連盟会長
谷川自然保護官事務所
登山指導センター所長から、ザイルやピッケルの装備品が、登山指導員一人一人へ貸与されました。
その受け取る手から、任務への強い思いが伝わってきます。
登山指導員主任から、宣誓の言葉。
センター長の挨拶後、群馬県警沼田警察署長、みなかみ町長(代理:観光商工課)、群馬県山岳連盟会長らが、祝辞を述べました。
【群馬県山岳連盟会長】
昨年12月の閉所式以来、館内に眠っていた看板を表に出し――――
2017年シーズン、いよいよ活動開始です!
登山指導員、谷川岳警備隊の笑顔が、遭難や事故を吹き飛ばしてくれそうです!
谷川岳登山指導センターには、
山岳に詳しいプロフェッショナルな登山指導員の方々がいらっしゃいますので、
登山についてのご不明な点など、気軽にたずねてみてはいかがでしょうか。
昭和41年の37名以降、死亡者は年々減少し、平成28年は2名でした。
ただ、この2名は、一ノ倉沢の岩場での死亡ではなく、一般登山道上で、発作や転倒によるものです。
平標山にある避難小屋にはトイレがあります。今年で12年という施設なのですが、そのトイレの浄化装置が上手く機能しなくなったとのことで復旧作業に向かいました。
必要な機材を背負子に載せて避難小屋まで上がっていきます。写真の背負子だと総重量7~8kgといったところでしょうか。信越事務所から来てくれた助っ人と交代しながら担いで上がっていきます。
日頃のメンテナンスをお願いしている山小屋の方にもお手伝いいただきながら作業開始です。
故障の原因は浄化した水を蒸散する装置にヌメリが溜まってしまったことだと思われたので、高圧洗浄機と配管掃除専用のホースを使って落としていきました。
蛇口への接続が少し緩かったため水圧でホースが外れないように連携を取って作業を行いました。「はい、スイッチ」「蛇口」「ガン(放水トリガー)」みたいな掛け声をかけます。
詰まっていたと思われるパイプを洗浄し水を流すと中からヘドロみたいなものが流れてくるのが見えました。お掃除大成功です!
ちなみに完全防備で挑みましたが、臭い自体はマスクを外してもそこまで酷くはありませんでした。
後は経過を見て問題が無ければミッションコンプリートです。上手くいきますように・・・。
山の上となるとトイレの復旧もなかなか大変な作業です。皆さんも山の施設は大事に使ってあげて下さい。