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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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伊勢志摩国立公園

108件の記事があります。

2017年07月15日南伊勢町の押渕湿地で植物調査

伊勢志摩国立公園 麻生里衣

伊勢志摩国立公園の南西部に位置する南伊勢町の押渕湿地は、貴重な湿地性の動植物が残っている場所です。

ところが、最近は乾燥化による植生の遷移や生物多様性の喪失が懸念されており、今回は植物の調査を行いました。

押渕湿地 調査
今回は植物のエキスパートの皆さまの調査に、パークボランティアさんと一緒に同行しました。

押渕湿地

構造物のない本来の姿を留めた小川の横を歩いていくと、普段は見慣れない様々な植物が目につきます。

ハンゲショウ

こちらはハンゲショウという、葉の一部だけが白化する植物。遠目には大きな白い花の様に見えます。

さらに進むと、稀少なミクリ科の植物が見つかりました。ちいさい栗のような花と実が可愛らしい植物です♪

ヒメコウホネ
絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されているヒメコウホネも、数か所で綺麗な花を咲かせています♪

グンバイトンボ

さらにこちらのグンバイトンボ(準絶滅危惧:NT)や、ウナギも見つかりました!

きれいな冷た~い湧き水が出ています。「それで小川の水がこんなにきれいなのか!」と思わされました。

この押渕湿地が、本当に様々な動植物が見られる貴重な場所であることを再確認しました。

それと同時に湿地の今後が危ぶまれます...。

話によると、以前はもっと水量が豊富で、トンボの数も今よりずっと多かったといいます。

地元の方々が大切に守ってきた押渕湿地。

数が減っている湿地の生きものや植物の楽園を、なんとか守っていければ...と思います。

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2017年07月11日出前授業@志島小

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

少し前の話になりますが、

志摩市立志島小学校で出前授業を行いました。

「大好き志島」をテーマに毎回違うゲストティーチャーが登場する授業の第一回目で、

学校近くの布海苔浜で磯の生物観察を行いました。

はじめに、伊勢志摩国立公園やパークレンジャーの仕事について

お話をしました。

今日の観察はいくつかのテーマに沿って行いました。

生きものを探すだけでなく、海水の干満や、

海底の地形のことなどについても気づいてもらうためです。

アラレタマキビという小さな巻き貝を集め、

海水に入れて観察します。

すると・・・

この貝は水がきらいで、上の方へ移動してきました。

アラレタマキビがいる場所は、満潮時にも海水につからない場所なのです。

一方でカメノテやフジツボがいる場所は、満潮時には海水につかります。

この浜は「布海苔浜」と呼ばれているだけあって、

フノリという名前の海草がたくさん生えていました。

海藻をかき分けたり、石をひっくり返したりしてみると

たくさんの生きものが見つかりました。

この日に観察できた生きものは、

ヒザラガイ、マツバガイ、スガイ、アラレタマキビ、イシダタミ、アメフラシ、

サザエ、トコブシ、アゴハゼ、クサフグ、ギンポ、

イソスジエビ、ホンヤドカリ、ヒライソガニ、フジツボ、カメノテ、イワガニ、

ヨロイイソギンチャク、ミドリイソギンチャク、ウメボシイソギンチャク、

イトマキヒトデ、ニホンクモヒトデ、ヤツデヒトデ、マナマコ、などでした。

児童たちの感想を見ると、

ラーメンのような姿をしたアメフラシの卵塊や、

イソギンチャクを触ったときの感触や、

とても小さなアラレタマキビという貝がたくさんいたことなどが印象に残り、

ほかにもいろいろな発見があったようです。

そして、磯での生物観察が楽しく、

また行きたいと言ってくれたことがうれしかったです。

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2017年07月05日海岸の漂着ごみ

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

伊勢志摩国立公園は「海の国立公園」とも呼ばれており、

美しい海岸線はそのほとんどが特に規制の厳しい「特別地域」に指定されています。

しかし、そのような美しい海岸にも多くの漂着ごみが流れ着いています。

ここは南伊勢町の海岸で、30分ほど森の中を歩いて行かなければならない浜です。

美しい海岸ですが、たくさんの漂着ごみがあります。

ここで6月24日に磯の生物観察と漂着ごみの清掃を行いました。

狭い範囲だけでしたが、ほとんどの人工物を収集することが出来ました。

ここは鳥羽市にある答志島の海岸です。

答志島は伊勢湾の湾口近くにあり、伊勢湾全体の約半分のごみが流れ着くと言われています。

6月18日に行ったプログラムでは、

漂着ごみの清掃と、漂着物を使ったクラフト体験を行いました。

ごみだったものが作品に生まれ変わるのはうれしいものです。

写真の中央にキャタピラーのような跡があるのがわかりますか?

これはアカウミガメが産卵のために上陸した足跡です。

ウミガメが産卵に来る海岸にも漂着ごみはあり、

志摩自然保護官事務所では特にウミガメが産卵する海岸で漂着ごみ清掃を行っています。

海岸に漂着するごみの8割は自然系のごみです。

これを無くすことは出来ませんが、残り2割の人工物は私たち人間が排出したものです。

まずはごみを出さないような生活を、

そして次には清掃などの具体的なアクションを継続していきたいです。

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2017年06月19日カヤックで行く!リアス海岸調査隊!!

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

6月17日に海岸漂着ゴミの普及啓発事業で

体験プログラム「カヤックで行く!リアス海岸調査隊」

を行いました。

ともやま公園桐垣展望台から見たリアス海岸の英虞湾です。

この海をカヤックで調査します。

少し風が強かったのですが、カヤック日和の晴天!

青空と青い海に緑色のカヤックが映えます。

この島が今回の目的地、無人島の「うさぎ島」です。

ノウサギがたくさん住んでいる島かな?と思いきや、

野鳥のウとサギがたくさんいる島だからなのだとか・・・。

このプログラムではうさぎ島で漂着ゴミの清掃をしたほか、

リアス海岸の美しい海をカヤックで巡ったり、

海草のアマモやヒトデなどの海の生きものを観察したり、

真珠の養殖筏を観察したりすることが出来ました。

うさぎ島の清掃は4年目になりますが、

年々回収する漂着ゴミの量が減ってきているような気がします。

清掃の成果が現れているのだとしたらうれしいです。

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2017年05月31日無人島:小島を調査!

伊勢志摩国立公園 麻生里衣

こんにちは。

伊勢志摩のアクティブ・レンジャー麻生、2度目の日記です。

5月25日、すぐ隣の「大島」と並んで先島半島の布施田沖の外洋に浮かぶ「小島」という小さな島で、現地の植生や外来種の侵入などの状況を調査しました。

小島は伊勢志摩国立公園の「第一種特別地域」という規制地域に指定されており、景観の維持が厳しく行われています。島には漁業関係者の方が年数回訪れる程度で、ほとんど人の出入りがないのだそうです。今回は特別な許可を得た上で、通常立ち入ることができない島に入れていただきました。

無人島の調査...。

ミステリーを感じながら船に乗り込みます!

しかし、この日はあいにくの大雨。

そして、私の自前レインウェアは摩耗で雨水を通すようになったようで、完全に雨水スルー状態。びしょぬれになりながら島へ上陸。

そして、しばらくすると雨が止みました。さっそく調査へ!

外来植物は数種類が確認されたものの、数は限定的のようで少し安心しました。

在来の植物たちも花を咲かせています♪

画像:ハマヒルガオ

画像:キケマン

画像:ハマダイコン

小島でも、志摩でよく見られる縦じま模様の地層が露出しています。

地殻が地中に入り込む過程で力が加わり、縦縞模様が出来上がるのだとか。

そして、近くの磯場から打ち上げられた、海藻の種類の多さにも驚かされます。

「海でマリモ発見!?」と思えば、タマミルという種類の海藻だそうです。

まるっこさがかわいい...。

画像:タマミル

この日は波が穏やかだったので、近くに海女さんのものと思われる漁業船も点々とあり、まさに"人々の暮らしと自然が融合"した伊勢志摩の風景が見られました。

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2017年05月23日ホトケドジョウの調査

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

伊勢志摩国立公園パークボランティア連絡会では

志摩市阿児町にある農業用水路において

ホトケドジョウのモニタリング調査を平成17年から行っています。

ホトケドジョウは環境省のレッドデータブックで

絶滅危惧ⅠB類に記載されている魚で、

湧き水のあるような水辺にくらしています。

5月18日に今年の調査を実施しました。

調査は決められた地点において5人で一斉に10分間採集し、

採集された生物の種類や数を記録しています。

こんな狭い場所でも、きちんと5人で調査します。

これがホトケドジョウです。

これはドジョウです。

これはシマドジョウです。

調査では上記の3種類のドジョウの他に

カワムツやヨシノボリ、サワガニ、ヌマエビ、ヤゴなど

全部で50種類くらいの生物が確認されています。

しかし、この調査地では湿地の乾燥化が進んで

ホトケドジョウの生育地が消滅してしまった場所もあります。

継続調査の結果から、ホトケドジョウの数や生息地点の数は

減少していることが明らかになっています。

今後はこの調査結果を生息地の保全につなげていくことが課題です。

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2017年05月17日志島の海岸

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

来週予定しているレンジャー出前授業の下見で志摩市阿児町志島の海岸へ行きました。

ここは白い砂浜と黒い砂利浜の磯が隣り合っている、

面白い環境の海岸です。

白い砂浜にはハマヒルガオの花がたくさん咲いていました。

波打ち際では、打ち上げられた海藻とアメフラシの卵塊を見つけました。

黒い砂利浜には岩場があり、たくさんの海藻が生えています。

ちょうど干潮時でタイドプールが広がっていました。

カラフルな海藻の生える海中はまさに別世界!

「かいそう」と呼ばれる海の植物には、ワカメなどの「海藻」と

アマモの仲間などの「海草」があります。

これはエビアマモで緑色が鮮やかですね。

クロシタナシウミウシです。

危険生物!ウツボがいました。

来週行う志摩市立志島小学校の出前授業は、

「大好き志島」をテーマに毎回違うゲストティーチャーが登場する第一回目です。

地域を好きになった子どもたちが国立公園を守る力になれるように

こちらも気合いを入れて授業に臨みたいと思います。

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2017年05月15日伊勢志摩国立公園レンジャー出前授業

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

志摩自然保護官事務所では、レンジャーが学校などに出張し、

伊勢志摩国立公園の自然について楽しく体験しながら学べる講座を行っています。

5月2日に今年度最初の出前授業が伊勢市立御薗小学校でありました。

5年生3クラスを対象に、伊勢志摩国立公園の自然と、

絶滅危惧種、外来生物、地球温暖化についてお話しをさせていただきました。

身近な生物のことや、各自で出来る地球温暖化対策について

活発に質問をいただいたりして、児童たちの意識の高さがうかがえました。

伊勢志摩国立公園では、出前授業を担当するアクティブ・レンジャーが

今年度から2名体制になり、より一層充実した講座を提供いたします。

出前授業について、詳しくはこちらのチラシ【H29iseshima.pdf】、

もしくは下記のページを御覧ください。

http://chubu.env.go.jp/to_2017/2017.html

たくさんの御依頼をお待ちしています!

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2017年05月12日春の横山、生き物たちがいっぱいです

伊勢志摩国立公園 麻生里衣

みなさん、はじめまして!

今年度から新しく伊勢志摩国立公園のアクティブ・レンジャーになりました麻生です。

今回初めてアクティブ・レンジャーの仕事をすることになり、まだ手探り状態ですが、早く要領を得られるよう頑張りたいと思います。

昨日、連休が明け久しぶりに横山に行ってみて、おどろきました!

この前咲いていた花が終わり、この前は咲いていなかった花がいい香りを周囲に漂わせて咲き誇っており、いろいろな虫たちが嬉しそうに飛び回っていました。

ガマズミの花の中に、昆虫が隠れています!

ナワシロイチゴ の花、赤くてすっぱい実がなります。

二ホントカゲ、展望台に向かう歩道の途中で日向ぼっこしていました。

この前はここでシマヘビが日向ぼっこしていました!

シャリンバイの花、梅に似た白い花は近づくと少しいい香りが。

手すりにとまるシオヤトンボ 。

家の近くにこんなにいろいろな動植物を見られる場所があるのは、とてもうらやましいことです。

春の伊勢志摩の森は、それぞれ種類が異なる木が違う色で芽吹くので、色味が違う緑色で彩られ、とてもきれいです。4月に引っ越してきて、私がまず感動したのがそこでした。

まさに多様性!

そんな場所が身近にあることが、伊勢志摩の魅力ですね(^-^)

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2017年05月01日海で遊ぼう!

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

中部地区の山の国立公園ではようやく雪解けの便りが届き始めましたが、

伊勢志摩国立公園からは早くも海へのお誘いです。

春は日中に大きく潮が引くので、磯や干潟での生物観察に最適な季節です。

水はまだ冷たいですが、日中の気温は十分に暖かく、

海岸の日差しは暑いくらいに感じられます。

先日、体験プログラムの候補地を探しに南伊勢町の海岸へ行ってきました。

そこは、森の中を15分ほど歩いた先にある海岸です。

大きなリアス海岸の湾口近くにあり、

対岸には特別保護地域の見江島が見えます。

大きな岩に囲まれた磯です。

中央の島が見江島です。

泳げるくらい大きなタイドプールもあります。

タイドプールの中には数百匹のイワシの仲間が群れで泳いでいました!!

アメフラシです。

ムカデミノウミウシです。

伊勢志摩国立公園では、横山ビジターセンターの自然観察会として

5月28日(日)に「干潟の生き物観察会」が、

6月25日(日)に「タイドプールの生き物ワールド」が開催されます。

どちらも開催の1か月前から参加受付が開始されます。

ぜひ御参加ください!

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