中部山岳国立公園
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2019年04月23日賑わいをみせる室堂平
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山管理官事務所の中山です。
4月15日に立山黒部アルペンルートが全線開通しました。
とは言え、14~15日にかけて雪が降り、15日は美女平駅~室堂駅間の立山高原バスが終日運休となりました。
翌16日は打って変わって快晴の1日となり、多くの方が室堂を訪れていました。
【室堂平の様子】4月16日撮影
快晴の下、雄大な山岳景観や雪遊びを楽しむ利用者が多く見られました。
一方、19日は1日曇り空で、霧が濃くて視界不良の時もありました。
山小屋方面への道はポールやロープが設置してありますが、視界不良時は無理な行動をされないようお願い致します。
この日はみくりが池温泉周辺で、食事中の雄のライチョウ1羽を見かけ、多くの利用者がライチョウを撮影・観察していました。
可愛くて夢中になってしまいがちですが、無理にライチョウを追いかけないようお願い致します。
また、植生に踏み込むことのないようにお願い致します。
【雄のライチョウ】4月19日撮影
雷鳥沢野営場を利用する際のお願いです。
雪が解けた場所からゴミが出てきたり、し尿跡が見られる等の問題が発生しています。
立山の自然保護のため、ゴミや残飯、使用済みの携帯トイレは持ち帰りをお願い致します。
【ゴミ等の持ち帰り誘導看板】4月19日撮影
日本語、英語、中国語、韓国語で表記しました。
【携帯トイレ回収ボックス】
室堂ターミナル1階に設置されているゴミ箱や携帯トイレ回収ボックス(1番右の黄緑色の箱)をご利用ください。
今週末からは10連休が始まります。
アルペンルートの各駅では混雑が予想されますので、時間に余裕を持ってお出かけください。
防寒着やサングラス、飲み物等をしっかりとご準備されてください。
2019年04月12日立山黒部アルペンルート全線開通に向けて
中部山岳国立公園 立山 中山博人
ご無沙汰しております、立山管理官事務所の中山です。
2019年度もどうぞよろしくお願い致します。
さて、4月15日(月)の立山黒部アルペンルート全線開通に向けて、関係者が準備を進めています。
立山管理官事務所では、火山ガス中毒防止及びライチョウ等の希少種の保護、植生への立入防止を目的とした、看板やポールの設置を行いました。
【地獄谷立入禁止看板、ポール】4月9日撮影
看板やポールの先は火山ガス濃度が高く危険ですので、立ち入らないでください。
この時期の室堂は冬山であり、歩道は雪に覆われ、雪が降って吹雪になることも考えられます。
また、室堂ではライチョウをはじめとする多くの動植物が生息・生育しています。
利用者の安全と室堂の貴重な自然環境を守るため、室堂の利用に関するルールを設けています。
以下のページでご確認ください。
室堂平の積雪期利用ルールについて→http://chubu.env.go.jp/shinetsu/pre_2019/post_75.html
【室堂平の積雪期利用ルールのリーフレット】
4月9日の室堂では、朝は氷点下10度を記録しました。
街中とは比較にならないほど厳しい環境ですので、防寒対策を万全にしたうえで、時間に余裕をもってお出かけください。
天気が良ければ、一面が雪に覆われた美しい白銀の世界を堪能できます!
【みくりが池越しに見る立山】4月5日撮影
【室堂ターミナルの駐車場を除雪中】4月9日撮影
2019年03月13日外来植物の分布調査をまとめる
中部山岳国立公園 関根陽太
こんにちは。
先日、外来植物の分布調査について書きましたが、
GPS機能付きカメラで撮影した後は、どうするのか紹介したいと思います。
これが、調査で撮った写真です。
パソコンで確認すると、位置情報が記録されているのが分かります。
この位置情報を活用しGIS(地理情報システム)ソフトで処理すれば・・・
あっという間に分布図ができあがり。
メッシュ状に分布密度を表すこともできます!
この調査方法のいいところは、
・目印の少ない大自然の中でも位置情報を記録しやすい
・後からでも撮影した写真から同定ができるので、誰でも調査に参加できる
・写真を撮るだけなので、判別記録の為に植物を採らずに済む
・とりまとめる人が交代しても、引き継ぎがしやすい
などなど、沢山あります。
上高地では調査結果をもとに、
種類ごとの危険度や分布図の経年変化などを参考にして対策にあたっています。
詳しい結果は信越自然環境事務所のホームページに掲載しましたので、ぜひご覧になってください。
http://chubu.env.go.jp/shinetsu/pre_2019/30_6.html
2019年03月12日外来植物を探す
中部山岳国立公園 関根陽太
こんにちは。
上高地は国立公園、山岳観光地として昔から多くの人が訪れています。
大自然の中で人が活動すると問題になってくるのが、外来植物です。
もともと上高地には生えていなかった植物が定着してしまうと、
景色を変えてしまったり、生態系に影響を及ぼしてしまったりすることもあります。
そんな外来植物を除去する活動もありますが、上高地では分布調査もしています。
夏に調査した様子を見てみましょう!
釜トンネルから横尾までの約13キロの谷にある車道や歩道をくまなく歩いて調査します!
歩きながらも目を光らせ、外来植物があればGPS機能が付いたカメラで撮影します。
上の写真は、発芽したばかりの外来植物を見つけたところです。
おしゃべりに夢中になると見落としてしまいそうになります!!
果てしなく地味で作業量が多いですが、この積み重ねが外来植物の蔓延を防ぐのです。
実はこの調査、パークボランティアさんの有志活動がきっかけで平成11年頃に始まりました!
その後、管理官事務所と信州大学が協力して調査方法を確立させてきたのです。
上高地の景色の裏には、こんな活動もあることを知ってもらえると嬉しいです。
詳しい結果は信越自然環境事務所のホームページに掲載しましたので、ぜひご覧になってください。
http://chubu.env.go.jp/shinetsu/pre_2019/30_6.html
2019年01月21日乗鞍高原の楽しみ方 * 春 *
中部山岳国立公園 丸山由起子
みなさん、こんにちは!
冬期(11月~4月)は積雪により現地でできる作業が限られるため、アクティブ・レンジャーの
仕事は事務作業が多くなります。
そんな事務作業の合間に、春~秋に紹介できなかった乗鞍高原や乗鞍岳のきれいな風景とともに
乗鞍高原の楽しみ方をポツポツと紹介したいと思います!
今回は春の見所をご紹介♪
【 ミズバショウ 】
ミズバショウは4月中旬頃から咲き始め5月下旬頃まで楽しめます。
乗鞍高原は標高1300m~1600mくらいと標高差があるので、標高が低かったり少し暖かい
場所から咲き始め、徐々に広がっていくため時間差で長く楽しむことができるのです。
ここ数年はゴールデンウィーク頃に見頃を迎えています。
おもな見所は一の瀬、牛留池、宮の原などです。
参考地図-->乗鞍高原トレッキングマップ.pdf
参考HP--> のりくら観光協会公式サイト https://norikura.gr.jp/product/white-arum-area/
詳しい地図へのリンク等がありますのでご覧になってみてください。
【 スモモやコナシの花と 「すもも祭り」 】
乗鞍高原のスモモは、昔々鉱山で仕事をする人たちがおやつとして食べたスモモの種を
捨てたものから増えたと聞いています。
残雪の乗鞍岳を背景に咲くスモモやコナシの白い花がとてもきれいです。
また5月中旬過ぎ頃には開山祭とグリーンシーズンの始まりを祝う「すもも祭り」が
開催されます。
草原にレジャーシートを敷いてのんびりと楽しむのがおすすめですよ。
【 エコーラインの雪壁と大雪渓での春スキーや雪遊び 】
積雪状況にもよりますが例年ゴールデンウィーク頃よりエコーラインの春山バスの運行が始まり、
雪壁の中を位ヶ原山荘や大雪渓までシャトルバスで上がれるようになります。
大雪渓バス停付近で雪遊びするもよし、雪山装備やスキーでさらに上に行くもよし、下界では
暑さが増してくる頃に槍穂高連峰を望む絶景の雪の中で涼しさを満喫することができます。
**ご注意**
乗鞍岳は3000m級の山ですので天候が崩れると春でも冬山に逆戻りします。
登山等される方は十分な雪山装備でのぞんでください。
このように春の乗鞍は、高原では花咲く春を満喫し、山の上では雪遊びというふたつの季節を
楽しむことができる場所です。
ぜひ今年の春に遊びにいらしてください!
乗鞍高原を訪れたら、まずは観光案内所や乗鞍自然保護センターで旬の花情報やマップを
入手してくださいね。
とっても広いので意外と迷いやすいのです。
2019年01月18日写真展開催中★安曇野市にて
中部山岳国立公園 佐藤怜子
平成31年1月9日より安曇野市穂高交流学習センター「みらい」にて開催中の平成30年度アクティブ・レンジャー国立公園写真展の様子を紹介します。展示期間は1月24日まで。ぜひお越し下さい☆
この写真展は、環境省職員アクティブ・レンジャーが各担当地区で業務中に撮影した写真を使用しています。
国立公園内の美しい風景や、あまり知られていない業務の様子など、様々な写真40点程が並びます。
【展示会場が美しいので写真も映えます】【みらい特別展示① ~常念山脈特集~】
会場が安曇野市ということで、特別に安曇野市になじみ深い常念山脈の風景写真を展示しました。
また、その常念山脈に生息するライチョウの写真を10点程展示しました。
【みらい特別展示② ~ライチョウ特集~】
「良い写真だね~」と足を止めてじっと写真に見入って下さる方や、「ライチョウさんかわいいね~」とお子さん連れで訪れて下さる方。多くの方がご来場下さりました。
「ライチョウさん好き~!」と嬉しそうに写真を見ていた2歳の女の子がとても印象的でした。
2歳でライチョウを知っているなんて!(^^)
【ライチョウクイズに挑戦!! ~こどもからおとなまで多くの方が挑戦~】
環境省で保護増殖活動に取り組んでいるライチョウについて、楽しく学んでもらうためにクイズを設置しました。「ライチョウの羽が換わることを初めて知った!」と驚きながら解説をじっくり読んで下さる方もいて、ありがたいかぎり(^^)
【会場の様子 -展示写真は全て平成29年度に撮影されたものです】
当写真展は平成20年度より環境省の事業の一環で毎年継続して行っている写真展です。
毎年、展示写真が変わり、環境省信越自然環境事務所管内を1年間でおよそ1ヶ月ずつ巡っていきます。
会場は、毎年同じ場所で開催されるとは限りませんので、ご了承下さい。
詳しくは下記HP等でご確認下さい。
アクティブ・レンジャー写真展について http://chubu.env.go.jp/shinetsu/pre_2018/30_5.html
会場 穂高交流学習センター「みらい」について http://www.city.azumino.nagano.jp/site/mirai/
2019年01月17日ニホンザル対策の報告会 その2
中部山岳国立公園 上高地 関根陽太
こんにちは。
先日のAR日記に書いた、研修会での内容をざっくり書きたいと思います。
上高地のニホンザルは特別な種類ではないですが、次のような特徴があります。
・極寒の地(冬は-20℃近い日もある)に通年で暮らす
・高山帯に登る(1,500m付近から3,000m峰まで利用する群れもある)
・水生昆虫を食べる
・人間に依存しない
サルの仲間は熱帯地方に多くが分布し、
世界から見ても日本の雪国にサルが生息していること自体が珍しいのです!
そのなかでも、上高地のサルは人間からエサや農作物を得ていなく自立していて、
学術的にも貴重な個体群と言われています!!
そんな貴重なサルですが、
H18頃から売店前の水槽で冷やしていたリンゴを取って食べてしまう案件が多くなってきました。
エサを介してしまうと人慣れが一気に進行してしまい、
他の国立公園や観光地でもみられるように、
人に飛びついたり、物を奪ったりするようになってしまいます。
そこから、上高地関係者と管理官事務所が協力して、
食品管理強化や追い払いの講習会、エサやりの注意喚起を行ってきました。
今年は、管理官事務所の事業の一環で、
自然公園財団に野生生物専門対策員を雇用していただき、
巡視や追い払い、普及啓発活動などを行ってもらいました。
外国人利用者も多いため、英語と中国語で伝えられるボードを作成しました。
このように10年以上対策に取り組んでいる上高地ですが、
人慣れが進み威嚇行動が見られてきたが、直接人間に襲いかかることはほとんどありません。
他地域のように劇的に悲惨な状況にはなっていなく、
なんとか現状維持できていることは取り組みの成果だと思います。
今後も上高地では、追い払いの実施と利用者への普及啓発に地域で取り組んでいこうと思います。
また、近年はハシブトガラスに弁当やおやつを取られる案件も出てきています。
ハシブトガラスは上高地の生態系の一員ですが、
このままではサルと同じように問題となってしまいます。
カラスについても試行錯誤の始まりです。
2019年01月15日ニホンザル対策の報告会 その1
中部山岳国立公園 上高地 関根陽太
こんにちは。
ニホンザルの対策について書かせてもらいましたが、
シーズン末には、上高地ネイチャーガイド協議会の研修会の一環で、
「上高地のニホンザルの現状と対策」の報告と意見交換をしました。
研修会でお話しした内容は改めてAR日記に書こうと思いますが、
意見交換ではガイドの皆さんならではの意見や情報がたくさん挙がりました。
たとえば、「団体ツアーにもっと効率よく啓発を行った方が効果的なのでは。」といったことから、
「ガイドをしているときに多くのお客さんがじっくり見る看板がある。そのような看板をうまく使うといい」などなど。
また、今年作成したポスターについても良い点や改善点など、
どんどん意見を出し合い、時間が足らなくなるほど盛り上がりました。
上高地一同、試行錯誤でサル対策に取り組んでいますが、
自然の中で楽しむ人のマナーが大切です。
私たちにできることを考えてみませんか?
2019年01月11日ニホンザル対策
中部山岳国立公園 上高地 関根陽太
こんにちは。
上高地のニホンザルの人慣れ問題について何回か書いていますが、
昨年は、施設の方、ガイドの方、ボランティアさんなど
多数の方々に協力してもらい、地域一丸となって対策に取り組みました。
対策は今まで「追い払い」に重点が置かれていましたが、
ここ最近は利用者に対する「普及啓発」にも力を入れています。
「追い払い」は、人やエアガン(弾は自然に返る天然素材です)等で
利用者の多い場所に近づいたサルを脅かして、一定の距離を取るように誘導します。
「普及啓発」は、利用者へ野生動物を観察する際の注意点を伝えるものです。
利用者が安全に、そしてサルの人慣れを進める要因を作らないことが大切です。
サルに「利用者が多いところは避けてね。」と言ってもなかなか伝わりませんが、
利用者の皆さんなら、上高地の事を考えて行動してくれます。
「近づきすぎない、エサをやらないで」などのマナーを伝えながら、
上高地のサルの生活も伝えます。ときには道案内や山や花の名前も。
少しずつですが、ヒトとサルが適切な距離を取り戻せるようにできればと思います。
みなさま、こんにちは。
4月より中部山岳国立公園上高地管理官事務所に着任いたしました小森です。
以前は中国地方の大山隠岐国立公園でアクティブ・レンジャーをしていましたので、久しぶりの日記投稿となります。以前の日記をご覧いただけた方も、もしかしたらいらっしゃいますでしょうか?
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
さて、去る4月27日土曜日に「第51回上高地開山祭」が執り行われました。
この日は雪が舞い、時折強く風が吹くという春の上高地ならではのお天気となりました。この開山祭は例年4月27日と日が決まっていますが、今年は偶然平成から令和に変わる超大型連休の初日にあたったということもあり、上高地はたくさんの方で賑わっていました。
恒例のアルプホルン演奏からはじまり、
環境省信越自然環境事務所所長からも祝辞を述べさせていただきました。
連休中もたくさんの方々に上高地にお越しいただきました。今年は雪が多かったため、連休中も遊歩道の通行止めがありましたが、5月6日に大正池~明神まですべて解除となりました。しかし遊歩道上にはまだ雪が残るところや泥っぽいところもありますので、防水性のある靴など、装備を整えてお越しいただくことをおすすめします。
遊歩道の状況や上高地の自然情報は、以下のビジターセンターのHPをご覧ください。https://www.kamikochi-vc.or.jp/
また、この連休中も北アルプスを中心に、山岳遭難が多数発生しました。連休が明けても、標高が高いところはまだまだ雪が多く残っており、ひとたび天候が悪化すれば冬山に様変わりします。天候や体調が悪い際は、どうか無理をせず、引き返す勇気を持って行動をするなど、安全な登山を心がけていただきますようお願いいたします。