中部山岳国立公園
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2019年09月25日秘境感たっぷりの巡視
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山管理官事務所の中山です。
9月19日、20日に室堂から雄山を経由し、内蔵助平、真砂沢ロッジ、剱沢雪渓を歩きましたのでご報告します。
2日間とも、台風前の秋晴れに恵まれた登山でした。
19日の雄山からは北アルプスの山々はもちろん、雲海越しに白山や富士山まで望むことができました。
雄山から真砂岳までの縦走路は気持ちよく歩けましたが、内蔵助山荘から内蔵助平方面へ少し下ると一転して足元が悪く非常に滑りやすい道になりました。
岩には苔が生えていたり濡れていたりした上、足の置き場に困る場所もあり、ロープをサポートとして駆使する場面もありました。
【左:雄山から雲海越しの白山、右:2018年に氷河に認定された内蔵助雪渓と後立山連峰】
【内蔵助山荘~内蔵助平間の登山道の様子】
内蔵助平まで近づくと斜度は緩くなりますが、植物が足元を覆っていまいました。植物の下に岩があって滑ることもありますので、ご注意ください。
内蔵助平からは、ハシゴ谷乗越を経由して真砂沢ロッジへ向かいました。
ハシゴ谷乗越を越えると、剱岳が見えてきました。
そこから見る剱岳は「横剱」と呼ばれていて、ハシゴ谷乗越周辺は唯一横剱が見える場所とのことです。
【左:横剱、右:ハシゴの下り】
翌日は、真砂沢ロッジから剱沢雪渓を登り、別山経由で室堂へ戻りました。
剱沢雪渓は数十メートル程度の雪渓を2回通過するだけで、他は夏道のガレ場、一枚岩(スラブ)を登りました。
今後雪渓の状態が変わる可能性がありますので、事前に富山県警山岳警備隊や周辺の山小屋に状況をお問い合わせの上通過してください。
【左:剱沢雪渓、右:一枚岩の様子】
雪渓が薄くなっている場所がありますので、必ずホースやピンクテープと言った目印に従ってください。一枚岩にはロープやボルトが設置されていましたが、岩は滑りやすいので十分ご注意ください。
内蔵助山荘から真砂沢ロッジ、翌日の剱沢雪渓は秘境感溢れる場所で、剱沢小屋まではほとんど他の利用者に出会わない静かな巡視でした。
これから本格的に紅葉シーズンになっていきます。
20日の朝は1℃まで冷え込むほど朝晩は寒くなってきました。
十分な防寒対策をし、時間に余裕を持った計画を立てて登山を楽しんでください。
2019年08月16日四方山祭り in 上高地
中部山岳国立公園 小森 夏奈
こんにちは。ご無沙汰しております、上高地管理官事務所の小森です。
季節の移り変わりは早いもので、上高地が開山してから早4ヶ月が経ちました。
夏休み期間の上高地はたくさんの人で賑わっています。今年は特に8月上旬に晴れた日が続いたので、美しい河童橋からの景色をみなさんも満喫されたのではないでしょうか。
8月11日の上高地です。
さて、去る8月11日(日)『山の日』に『四方山(よもやま)祭り in 上高地」が開催されました!!
『山の日』は2014年に国民の祝日として制定され、2016年より施行された一番新しい祝日です。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としています。
2016年には「第一回『山の日』記念全国大会in上高地」が開催され、当時の皇太子ご一家(現在の天皇ご一家)がここ上高地にお見えになりました。『四方山祭り』は第一回の開催が上高地で行われたことを記念し、記念大会の理念を継承することや、山岳に関する課題等を周知していくことを目的として2017年より毎年開催され、今年で3回目となります。
ちなみに、『山の日』記念全国大会の第二回は栃木県那須高原、第三回は鳥取県大山町で行われ、第四回の今年は山梨県甲府市で開催されました。
環境省はクイズラリーとブース出展を行いました。
クイズラリーは上高地内に6カ所あるチェックポイントを周りながら、上高地や国立公園についてのクイズに答えていきます。4カ所以上回れた方には、環境省オリジナル記念品を贈呈しました。
クイズラリーの問題は、初めて上高地を来られる方には少し難しいかもしれません。でも大丈夫!チェックポイントにいるボランティアさんが優しくヒントを出してくれます。クイズラリーに参加してくださった皆さんが、少しでも上高地や国立公園のことを覚えておうちに帰っていただければ幸いです。声かけをしている中で、今日が『山の日』だということを知らなかったお客さんもいらっしゃったので、ぜひ8月11日『山の日』のことも覚えてくださいね。
環境省ブースでは国立公園に関する展示とぬりえワークショップを行いました。みんな集中して『国立公園のどうぶつ』ぬりえに挑戦!ぬりえが完成したらおみやげをもらって大喜びです。
その他、ステージでのコンサートや関係機関のブース出展・ワークショップなど、上高地が大いに盛り上がった一日となりました。
暑い中、『四方山祭り in 上高地』にご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
2019年08月15日弥陀ヶ原の夏
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山管理官事務所の中山です。
8月14日の弥陀ヶ原の様子をお伝えします。
雲がありつつ適度に青空が広がっており、気持ち良い風が吹く1日でした。
イワショウブやシモツケソウ、キンコウカ等の花が咲いており、湿原地帯を華やかにしていました。
【左:弥陀ヶ原の風景、右:弥陀ヶ原から見た大日連山】
【左:イワショウブ、右:シモツケソウ】
植物でも、見られるのは花だけではありません。
オオシラビソ(アオモリトドマツ)の球果(いわゆる松ぼっくり)を多く見ました。
その松ぼっくりの色はよく見る茶色ではなく、濃い青色です。
樹の上の方にしかありませんので、ぜひオオシラビソの近くでは上を見上げてみてください。
【オオシラビソの球果】
また、蝶もよく見かけました。
ヒョウモンチョウの仲間はよく飛んでいたり花に止まっていたりする姿は見られたとともに、時折ベニヒカゲの仲間と思われる蝶が飛んでいました。
これから目にする機会が多くなると思いますが、捕まえたりせずにそっと見守ってあげてください。
【ヒョウモンチョウの仲間】
弥陀ヶ原は高層湿原らしい景色や生き物たちを堪能できる良い場所です。
木道が続いていますが濡れていると滑りやすくなりますので、滑りにくいトレッキングシューズでの散策をおすすめします。
日差しを受けると気温以上に暑く感じることもありますので、暑さや日焼け対策も行ってください。
2019年08月05日室堂平における火山ガスの注意喚起
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山管理官事務所の中山です。
立山管理官事務所では、室堂平における地獄谷の火山ガス自噴に対する安全対策を行っています。
毎週室堂平の巡視を行う他、エンマ台~雷鳥荘間に火山ガスの検知器を設置し、その結果を元に利用者への注意喚起を電光掲示板にて行っています。
他にも、火山ガス情報ステーションに常駐している火山ガス監視員が、エンマ台~雷鳥荘間の火山ガス濃度の測定や利用者への注意喚起を行っています。
また、同様の情報をインターネットからもご覧いただけます。
【火山ガス通行注意喚起ポスター】
アルペンルートの各駅や山小屋、ホテル等に掲示しています。左上のQRコードを読み取ることで、スマートフォンでも火山ガスの状況を確認できます。
【左:地獄谷立入禁止看板、右:地獄谷立入禁止ゲート】
【左:火山ガス検知器・注意標識、右:電光掲示板】
火山ガスは、風向きや天候によって濃度が変わることがあります。
人によって感じ方が異なり、特に喘息持ちの方や妊婦の方は注意が必要です。
火山ガスの影響を弱めるため、タオルやハンカチ等を水で濡らして口や鼻に当てることが有効です。
火山ガス情報ステーションや雷鳥荘付近に設置している水場でタオルやハンカチ等を濡らすことができます。
また、緊急時にはエンマ台~雷鳥荘間歩道に設置している防災箱に入っている手ぬぐいや水を利用していただくこともできます。
【左:水場、右:防災箱】
火山ガス濃度が上昇して警報が発令された場合(亜硫酸ガス5ppm以上)は、安全のため、エンマ台から雷鳥荘間の歩道は警報が解除されるまで歩かないでください。
長時間にわたって警報が発令された場合は、室堂山荘付近、雷鳥沢野営場付近を起点とした「代替歩道」をご利用ください(過去、長時間に渡って警報が発令されたことはありません)。
代替歩道については、佐藤ARの記事(http://chubu.env.go.jp/blog/2019/07/post-856.html
)をご覧ください。
まだ雪渓が残っていますので、通行の際は転落や踏み抜きにご注意ください。
梅雨が明けて本格的な夏山シーズンに入り、立山は観光客・登山客で賑わっています。
特に山の日前後は相当な混雑が想定されますので、時間に余裕を持ってお出かけください。
2019年07月26日立山室堂 代替歩道通行可能です
中部山岳国立公園 佐藤 裕子
今日は室堂にある代替歩道を雷鳥沢から室堂山荘方向へ歩きました。
雪渓は2箇所ありますが、通行可能です。
踏み抜きに注意しつつ、登山装備でお出かけください。
弥陀ヶ原火山・地獄谷から離れているため、火山ガスの影響の少ない道として2015年に整備されました。
立山を間近に感じながら歩くことができます。
雷鳥沢付近にある橋は架橋済です。(毎年秋になると積雪のため外します)
広がった登山道をヤシの実ネットで覆い、植生復元をしています。
踏まないようご協力をお願いします。
雪渓は2箇所あります(2019年7月26日現在)
踏み抜きに注意して通過してください。
室堂山荘側からの代替歩道の入り口は少しわかりづらいのですが、一の越・雄山方向へ向かう登山道の途中にあります。大きな看板が目印です。
2019年07月16日朝日岳山開き
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山管理官事務所の中山です。
7月も半分を過ぎ雨の日が多いですが、いかがお過ごしでしょうか。
7月6日、7日に朝日岳の山開きに参加したので報告します。
朝日岳は北アルプスの中でも北部に位置し、富山県と新潟県にまたがります。
積雪量が非常に多く、高山植物が多く咲く魅力溢れる山です。
今回のルートは、北又小屋からイブリ山を経由して朝日小屋で1泊し、翌朝に山頂に登頂、登ってきた道を引き返すものでした。
7合目(10合目がイブリ山山頂)より上部は残雪が出てくると共に高山植物が開花していました。
【左:オオサクラソウ、右:シラネアオイ】7月6日撮影
日中は霧が濃かったものの、6日の夕方から一気に晴れ、富山平野側は雲海と夕焼け、夜には満天の星空、さらには翌朝に山頂からご来光を見ることができました。
山で宿泊することの魅力が詰まった2日間であったと、強く実感しています。
【夕焼けで赤く染まる朝日岳】7月6日撮影
【朝日岳山頂からのご来光】7月7日撮影
ご来光を堪能し朝日小屋で朝ご飯の後に、雪倉岳・白馬岳方面に向かう「水平道」も歩きました。
昨年、一昨年で歩道を新しく整備した場所があるため、その場所の確認を行いました。
アップダウンが少なくなり、歩きやすい道になっていました。
【新しく整備した水平道の様子】7月7日撮影
朝日岳周辺(特に夕日ヶ原周辺や水平道等)はまだ多くの残雪があります。
雪に不慣れな方は、軽アイゼンやストックを使用されると良いと思います。
朝日小屋のHPに最新の情報が掲載されていますので、ご確認ください。
2019年07月04日八郎坂通行できます
中部山岳国立公園 佐藤 裕子
先日、八郎坂の巡視に行きました。
八郎坂は称名滝の近くに位置しており、坂を登りきるとアルペンルートにつながります。
八郎坂の入り口はこんな感じです。↓
生憎、この日は天候が悪く、称名滝は見られませんでした。
岩が苔むしている箇所が多いルートです。足元が滑りやすいのでお気を付けください。
また、歩くアルペンルート 弘法から美女平方面へ抜けられる際は倒木が多いのでご注意ください。
2019年06月05日アクティブ・レンジャー国立公園写真展2箇所同時開催中!
中部山岳国立公園 立山 中山博人
こんにちは、立山管理官事務所の中山です。
今年度もアクティブ・レンジャー国立公園写真展を、立山地区で開催しています。
アクティブ・レンジャー国立公園写真展では、昨年度のアクティブ・レンジャーが撮影した中部山岳・上信越高原・妙高戸隠連山の各国立公園の写真を展示しています。
写真とともに、アクティブ・レンジャーの紹介や各国立公園を紹介するパネルを展示していますので、併せてご覧ください!
◇2019年環境省アクティブ・レンジャー国立公園写真展in立山◇
○立山自然保護センター 階段踊り場
開催期間:2019年6月1日(土)~6月30日(日)
○美女平駅 2階
開催期間:2019年6月1日(土)~7月30日(火)
※観覧料無料
※6月中は2箇所同時開催です!
【立山自然保護センターの様子】
国立公園内で見つけた可愛らしい動物や綺麗な植物の写真をピックアップしました。
【美女平駅の様子】
コマクサのポスターを目印にして階段を上がってください。その場所ならではの雄大な景色や国立公園内での活動・イベント写真をピックアップしました。
私が撮ったお気に入りの一枚は、夕焼けで赤く染まった剱岳の写真です。
室堂からの帰り際にアルペンルートから撮った写真で、とても綺麗で感動したことを今でもよく覚えています。
その感動を少しでも共有できたら嬉しく思いますので、どうぞご観覧ください。
ご観覧いただいた後は、ぜひ本物を見に行ってみてください。
また、両会場で感想ノートを置いていますので、写真展の感想をお待ちしております!
写真展に関する詳細は、信越自然環境事務所のHPよりご覧ください。
2019年05月13日ライチョウ観察
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山管理官事務所の中山です。
大型連休は天候に恵まれる日が多く、立山室堂は多くの利用者で賑わっていました。
そんな中利用者を楽しませていた動物が、ライチョウです。
環境省レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されており、室堂周辺をはじめ薬師岳、大日岳、朝日岳等北アルプスの各所に生息しています。
その中でも、立山周辺には特に多くのライチョウが生息しており、ライチョウを目当てに室堂に来られる利用者が多くいらっしゃいました。
【オスのライチョウ】4月28日撮影
一定の距離を取って望遠レンズで撮影していたところ、どんどん近づいてきました。足の鋭い爪はアイゼンの役割を果たしており、人が滑るような場所でも全く滑らずに歩いている姿も見られました。
【メスのライチョウ】4月30日撮影
真っ白な姿がとても愛らしかったです。目の周りが黒くないのが、オスとの見分け方の1つです。
残念ながら、ライチョウを観察したい・撮影したいがためにライチョウに近づきすぎたり、植生に踏み込んでいる利用者が見られました。
ライチョウを見かけたときは、決して追いかけたり植生に踏み込んだりしないようお願い致します。
【植生への踏み込み跡】4月28日撮影
植生はライチョウにとってえさ場であったり産卵場所であったりします。決して踏み込まないようお願い致します。
この時期はライチョウにとって恋の季節であり、番(つがい)で行動している様子も観察できます。
見かけたときは、静かに見守ってあげてください。
【くつろいでいる様子のライチョウの番】4月29日撮影
新穂高から双六池まで、登山道巡視に行ってきました。
この道は、新穂高からの登山では多くの利用があり、国立公園の利用上も重要な路線です。
行動中は、しっかり雨に降られましたが、こういう時タイミングでこそ見られるものもあります。
この路線の日常管理は山小屋の方が行ってくださっています。
雨で登山道が洗掘されないように、水切りをメンテナンスをしてくれています。
あらゆる所で沢山の方々のご尽力があって、自然を永く楽しめるようになっています。
また、足が自然に運ばれるような石積みを施し、歩きやすくなっています。
さらにこの日は、一時的に雨が強くなり、登山道を横切る沢が増水しました。
山小屋の方が、大雨の中現地を確認し、安全に通れるようになるまで注意喚起をしたり、小屋を開放したりしてくださっていました。
増水が治まった後も、小屋でお見送りと現地まで誘導して登山者の安全を確保してくれました。
みなさんが登山するにも、沢山の方々の努力があってこそ歩けています。
登山の際、心のどこかでこういったことを思いながら楽しんでいただければと思います。