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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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中部山岳国立公園 後立山

50件の記事があります。

2017年05月23日白馬村のギフチョウ

中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは、中部山岳国立公園の後立山地区からです。

北アルプス(飛騨山脈)の北部、長野県の大町市、白馬村、小谷村、新潟県糸魚川市のエリアを担当しています。


5月19日に白馬村で「ギフチョウ、ヒメギフチョウなどのパトロール」に参加しました。

参加者は、白馬村教育委員会(主催者)、白馬村の文化財保護監視員と関係する行政機関など合わせて10名でした。

ギフチョウとヒメギフチョウは白馬村の天然記念物になっています。ギフチョウ、ヒメギフチョウが舞う今頃の時期に生息地に行き、成虫(チョウ)の数や産み付けられた卵の数を確認したり、チョウを採取している人がいないか見て回ったりします。

地域の方が主体的に行うこのような活動によっても、国立公園の自然環境が保たれています。


<写真中央のエメラルド色の丸いものがギフチョウの卵で、11個あります。卵の直径は1mm程度です。卵が産みつけられている葉はミヤマアオイという植物の葉です。卵からふ化した幼虫はこの葉を食べます。>


<ギフチョウ。平成26年に撮影したもの。今回は写真を撮影できるほど近くを飛ぶことはありませんでした。>


白馬村では、ギフチョウとヒメギフチョウは文化財保護条例により天然記念物に指定され、捕獲が禁止されています。また、採集した場合等に10万円以下の罰金等の罰則があります。

無許可でギフチョウまたはヒメギフチョウを採集している方を見かけましたら、白馬村教育委員会にご連絡をお願いします。



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2017年01月27日この景色を見るために行く人もいると思う

中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山(うしろたてやま)地区担当です(北アルプス北部の長野県側と新潟県側を担当しています)。


先日、八方尾根(長野県白馬村)にあるスキー場で調査を行いました。

内容は、スキー場最上部のコースの一部が国立公園区域にあるので、積雪状況や植物(ハイマツなどの幹、枝)の雪面上への露出の状況を確認し、コースオープンの可否を判断するというものです。関係する行政機関、地域の団体、索道事業者(リフトの運行会社)が合同で行いました。


調査で、積雪は十分にあり、コースとなる部分に植物の露出がないことが確認されたので、コースオープンは可と判断されました。

調査後すぐに整備が行われ、当日のうちにコースオープンとなりました。


ご利用の際は、コースをはずれないよう(立入規制のロープを越えないよう)お願いします。特に、第1ケルン付近は地形の関係で積雪が少なく植物が雪面上に出やすいので、規制に従い、植物を傷つけないよう一層のご注意をお願いします。


さて、当日の景色を紹介します。

<白馬三山(はくばさんざん)。3つのピークは、左から白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)、杓子岳(しゃくしだけ)、白馬岳(しろうまだけ)。八方尾根に来たらこの景色という定番。>


<妙高戸隠連山国立公園の眺望>


<手前が五竜岳(ごりゅうだけ)、奥が鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)。>



上の3枚の写真はスキー場内から撮影したものです。あまりうまく撮影できていませんが、スキー場内からでもこれだけの景色を見ることが出来るのです。

実際はもっと素晴らしい、冬の山岳の景色を見に、どうぞお出かけください。



なお、最上部のリフトを下りた後に、八方池方面に向かう(斜面を上る)場合は、スキー場外(バックカントリー)となります。慎重な行動で冬山をお楽しみください。

・登山者等で八方池方面へ向かう場合は登山届の提出が必要になります。

・バックカントリーでの遭難事故防止には、装備と技術、体力とともに、情報収集も重要です。

 雪崩に関する情報は次のページが参考になると思います。

 NPO法人 ACTの「北アルプス北部雪崩に関する情報」http://153.121.73.248/index.php



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2016年08月04日もうすぐ「山の日」 八方尾根でいろいろな花をご覧ください

中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

  • こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区担当です(北アルプス北部の長野県側と新潟県側を担当しています)。


    長野県白馬村の「八方尾根(はっぽうおね)」を7月20日に歩きました。

    今年は雪解けが早く、7月中旬までには登山道の雪がほとんど消えていたとのことで、当日は雪の上を歩くことはありませんでした。

    上る途中はガスで景色は望めませんでしたが、いろいろな花が咲いているのを楽しみながら歩きました。


    目立ったのは、雪田植物(せつでんしょくぶつ)と呼ばれる植物の花でした。

    高い山では、窪地や稜線の風下側など、雪が吹き溜まる雪田(せつでん)と呼ばれる環境があり、そこに生育する植物を雪田植物と言います。

    雪田では、雪が消えるのが周囲に比べて遅くなるので、植物が生長を始める時期も遅くなります。しかし、雪が積もり始める時期は周囲もおおよそ同じなので、植物が生長できる期間(雪が溶けている期間)が周囲に比べて短くなります。こういった環境に生育する植物は、短い期間のうちに、生長し、花を咲かせ、実を結ぶことができるという特徴を持ちます。

    <中央にアオノツガザクラ、手前や奥にチングルマ。>


    <左:ガンコウラン、右:ミネズオウ。>


    また、歩く途中、花の色が黄色で、花の形がよく似ている植物がありました。どれがどういう名前だったかな? と迷っている方もいました。

    <左:ミヤマダイコンソウ、中:ミヤマキンバイ、右:ミヤマキンポウゲ>

    ・花にだけ目が行きがちですが、葉の形も一緒に観察すると区別しやすくなります。



    そして、主稜線に近くなると、岩礫地に生える植物が目立ち始めました。

    <左:チシマギキョウ、右:イワツメクサ>


    このほか、写真を載せませんが、アカモノ、イブキジャコウソウ、シモツケソウ、キヌガサソウ、クガイソウ、クルマユリ、コイワカガミ、コバイケイソウ、タカネマツムシソウ、トモエシオガマ、ニッコウキスゲ、ハクサンイチゲ、ハクサンタイゲキ、ハクサンフウロ、ハッポウウスユキソウ、ミツバオウレン、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマアズマギク、ミヤマコゴメグサ、ミヤマダイモンジソウ、ミヤマムラサキ、ヨツバシオガマなどの花も見ることが出来ました。



    稜線に着いたところ、富山県側はガスが切れていて素晴らしい景色を見ることが出来ました。

    <右のピークが唐松岳(からまつだけ)。中央左奥のピークが剱岳(つるぎだけ)。その左に立山(たてやま)があるが雲に隠れている。長野県側では青空さえ見えなかったので、より素晴らしい景色に感じました。>


    8月11日は「山の日」。いろいろな花と素晴らしい景色を見に八方尾根へお出かけください。


    <お知らせ>

    「登山計画書の提出が義務付けられます」

    長野県は、長野県登山安全条例第20条第1項の規定により、遭難の発生のおそれが高いと認められる山岳の登山道を指定登山道として指定しました。平成28年7月1日より指定登山道を通行しようとするときは、登山計画書の提出が義務付けられます。指定登山道については長野県のページをご覧ください。

    <http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/tozanjorei.html>

    ・登山計画書の様式はこのページの上のほう、指定登山道についてはこのページの中ほどにリンクがあります。


    なお、今回紹介した八方尾根については、ゴンドラとリフトを利用して入山し唐松岳方面に向かう場合、条例での指定登山口は、八方池から少し唐松岳方面に進んだ所になります。このため、八方池よりも上部へ行く場合に登山計画書の提出が義務付けられます。

    ・この指定登山口では紙媒体の登山計画書を提出できません。紙媒体の提出場所はゴンドラ乗り場前です(夏季に登山相談所が開設されます)。

    ・インターネットにつながる環境がある場合は、「長野県ホームページ 電子申請」または「山と自然のネットワーク コンパス」から提出することができます。



    <余談(国立公園外)>

    八方尾根を上る場合、山麓からゴンドラとリフト2基を乗り継いで行きますが、ゴンドラを下りて1つ目のリフト(アルペンクワッドリフト)では、白馬村キャラクターの「ヴィクトワール・シュヴァルブラン・村男Ⅲ世」の取り付けられた搬器(人が座る椅子)があります。座ることができるかな?

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    2016年07月11日長野県で初めての氷河!? そして、久しぶりのライチョウ

    中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

    こんにちは、中部山岳国立公園(≒北アルプス)の後立山地区担当です(北アルプス北部の長野県側と新潟県側を担当しています)。


    今回は長野県大町市の話題を2つ。

    話題の1つ目「長野県で初めての氷河!?」の場所は、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)山頂から北東に広がる谷にある「カクネ里(かくねざと)雪渓」です。

    この雪渓では、昨年度(平成27年度)、氷河であるかどうかを確かめるための現地調査が、カクネ里雪渓(氷河)学術調査団により行われました。その結果、「氷河である可能性がほぼ確実な状況となってきた」ということです。


    これまで、国内では富山県にある次の3つの雪渓が氷河であると学術的に認められています。

    ・立山(雄山)東面の御前沢(ごぜんざわ)雪渓

    ・剱岳東面の三ノ窓雪渓

    ・同じく小窓雪渓

    今回、カクネ里雪渓が国内では4つ目、長野県では初めての氷河となりそうです。


    <中央に白く縦に帯状に見えるものがカクネ里雪渓。中遠見山付近(北東側)から望む。鹿島槍ヶ岳の山頂部は雲に隠れている。>


    なお、上記調査団の一員である「大町山岳博物館」において、企画展「鹿島槍ヶ岳カクネ里 氷河への道のり」が8月28日までの予定で開催されています。また、調査団による報告会やミュージアムトークが行われる予定です。

    詳細は同館のウェブページ<http://www.omachi-sanpaku.com/>をご覧ください。


    <カクネ里雪渓と富山県の3つの雪渓(氷河)の位置(●)>

    ・▲は日本百名山

    ・緑の塗りつぶしが中部山岳国立公園の範囲



    そして、話題の2つ目「久しぶりのライチョウ」は、

    報道等でご存知かと思いますが、大町山岳博物館ではニホンライチョウの人工飼育が12年ぶりに始まり、7月1日に、運び込まれた4卵すべてから孵化しました。

    同館では1963年からニホンライチョウを飼育していましたが、2004年に死去のため中断していました。今回、久しぶりのニホンライチョウの飼育です。まずは雛が順調に成長することを祈ります。(同館では、近縁のスバールバルライチョウも飼育しているので、区別のためニホンライチョウという表記にしました。)



    さて、今回話題にした大町市は、富山県、岐阜県と接しており、その境界は3,000m級の山並みです。中には、槍ヶ岳(やりがたけ)、鷲羽岳(わしばだけ)、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)といった日本百名山に挙げられる山があります。

    まもなく梅雨明け、夏山の最盛期です。これらの山を求めて、大町市の山々へお出かけください。


    また、山は歩きたくないけれど、山の景色を見たいという方には、大町山岳博物館の展望ラウンジや、同館の斜面上部にある鷹狩山へどうぞ。視界が良ければ、北は白馬岳から、南は常念岳まで、後立山の山々のパノラマを眺めることが出来ます。なお、大町山岳博物館は入館料が必要となりますのでご留意ください。



    <お知らせ>

    「登山計画書の提出が義務付けられます」

    長野県は、長野県登山安全条例第20条第1項の規定により、遭難の発生のおそれが高いと認められる山岳の登山道を指定登山道として指定しました。平成28年7月1日より指定登山道を通行しようとするときは、登山計画書の提出が義務付けられます。指定登山道については長野県のページをご覧ください。

    <http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/tozanjorei.html>

    ・登山計画書の様式はリンク先のページの上のほう、指定登山道についてはこのページの中ほどにリンクがあります。



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    2016年06月30日今年は残雪がとても少ない

    中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

    こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区からです。


    6月22日は、白馬大雪渓(はくばだいせっけい、しろうまだいせっけい)の下流端に当たる白馬尻(はくばじり)付近(長野県白馬村)を歩きました。


    「残雪の少なさ」は、白馬尻から白馬大雪渓を撮影した今年と昨年の写真を比べると、感じることが出来ると思います。上は今年の6月22日、下は昨年の7月28日に撮影したものです。

    <平成28年6月22日撮影。雪渓の下流端は写真中央右寄りのところにあります。そこから谷に沿って帯状に上に白く伸びるのが白馬大雪渓。>


    <平成27年7月28日撮影。撮影日は約1ヶ月遅いが、雪渓の下流端は上の写真よりも下流側にあります(雪がたくさん残っている)。人が写っている後にも残雪の塊があります。昨年は残雪が多かったので、これが平年というわけではありませんが、残雪の量の違いが実感できます。>



    同じような光景は、栂池自然園(長野県小谷村)でも見られました。

    上は今年の6月7日、下は昨年の7月2日に撮影したものです。こちらでも去年と今年とでは、季節の進み方が全然違うことが分かります。

    <平成28年6月7日撮影。この場所のミズバショウは既に開花の見頃を過ぎていました。遅霜にやられて仏炎苞(白い部分)が茶変しているものがありました。>


    <平成27年7月2日撮影。撮影日は約1ヶ月遅いが、ミズバショウは見頃でした。残雪もありました。>



    さて、白馬尻付近(標高約1,450mから約1,600m)では、いろいろな花を見ることが出来ました。

    <左:キヌガサソウ、右:サンカヨウ。>


    <左:カラマツソウ、右:オオサクラソウ。>


    <左:キバナノコマノツメ、右:オオバミゾホオズキ。>



    梅雨が明けると、うだるような暑さがやってきます。白馬尻での白馬大雪渓からの涼風や、栂池自然園での標高1,900mの涼しさは、避暑にぴったりです。どうぞお出かけください。


    <アクセス>

    ■「白馬尻」

    猿倉(さるくら)までは車で来ることが出来ます。夏季には白馬駅から猿倉まで路線バスが運行されます。猿倉から白馬尻小屋までは徒歩で約1時間、緩い登りの未舗装の林道の後に、比較的整備された山道を歩きます。

    ■「栂池自然園」

    山麓の栂池高原から、ゴンドラとロープウエイを乗り継いだ後、約10分歩くと栂池自然園に着きます。ゴンドラ、ロープウエイの料金と栂池自然園への入園料がかかります。



    【お知らせ】

    「登山計画書の提出が義務付けられます」

    長野県は、長野県登山安全条例第20条第1項の規定により、遭難の発生のおそれが高いと認められる山岳の登山道を指定登山道として指定しました。平成28年7月1日より指定登山道を通行しようとするときは、登山計画書の提出が義務付けられます。指定登山道については長野県のページをご覧ください。

    <http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/tozanjorei.html>

    ・登山計画書の様式はこのページの上のほう、指定登山道についてはこのページの中ほどにリンクがあります。


    なお、今回紹介した白馬尻については、猿倉から入山する場合、登山計画書提出の除外区間が設けられています。猿倉から白馬尻小屋までの往復の場合は、除外区間であるため登山計画書の提出は義務付けられません。白馬尻小屋よりも上部へ行く場合は登山計画書の提出が義務付けられます。登山計画書は猿倉荘で提出可能です(猿倉荘では夏季に登山相談所が開設されます)。


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    2016年04月21日春山も天気の急変に注意

    中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

    こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区からです。

    4月19日に長野県白馬村の八方尾根を歩きました。午前中は天気が良く、白馬三山など周辺の山々を望むことが出来ました。


    <白馬三山。左から白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)、杓子岳(しゃくしだけ)、白馬岳(しろうまだけ)。>


    <左奥:鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)、右:五竜岳(ごりゅうだけ)>


    また、今年は雪解けが早いので、雪形が現れ始めていました。

    ・もう少し雪解けが進むと形がはっきりするのですが、右の山(白馬乗鞍岳)の直下に大きく「鶏(尾長の鶏)」に見立てられる雪形が見えます。この雪形は「カモシカ」に見立てる人もいます。

    ・この白馬乗鞍岳から左につながる小蓮華山にかけての斜面では、多くの雪形を見ることができます。


    さて、八方池までの歩道(登山道)の状況です。

    ・雪がべったり残っているのは、公衆便所から八方ケルンにかけての区間です。

    ・所々に雪があるのは石神井(しゃくじい)ケルンから公衆便所の区間です。雪が薄くなっているところがあるので、踏み抜きに注意が必要です。

    ・木道コースは雪が残っています。十分な装備のない方は無理に利用せず、尾根道を利用してください。


    <八方ケルンから斜面下部を望む。中央上に公衆便所が写っている。撮影地点から公衆便所までの区間は雪がべったり残っている。公衆便所から右側は所々に雪が見える。なお、公衆便所は冬期閉鎖中。>


    今回、八方池まで往復したのですが、午後になると、雪が降り、かなり強い風が吹きました。気象情報を見てある程度の心づもりをし、それに対応できる装備を持ったうえで歩いていたのですが、驚くほどの天気の急変でした。

    どのシーズンにも言えることですが「準備と計画は万全にして、現地では安全登山に心がけてください」。


    <お知らせ>

    1.「登山計画書の提出が義務付けられます」

    長野県は、長野県登山安全条例第20条第1項の規定により、遭難の発生のおそれが高いと認められる山岳の登山道を指定登山道として指定しました。平成28年7月1日より指定登山道を通行しようとするときは、登山計画書の提出が義務付けられます。指定登山道については長野県のページをご覧ください。

    <http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/shiteitozando.html>


    2.8月11日は国民の祝日「山の日」


    3.7月第4日曜日(今年は7月24日)は「信州山の日」


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    2015年12月22日冠雪した後立山連峰

    中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

    こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区からです。

    今回は12月9日に撮影した後立山連峰です。大町市と白馬村で撮影しました。


    まず、大町市で撮影したものです。


    この写真は、市立大町山岳博物館の近くで撮影しました。この博物館は大町市の施設で、「山岳」をテーマとする博物館としては日本で最初のものです。館内は北アルプスを中心とする自然や登山の歴史についての展示があり、3階の展望ラウンジからは、上の写真よりも広い範囲の北アルプス(後立山連峰)のパノラマが広がります。山名の表示や、山にまつわる解説があるので、「美しい景色」から一つ進んで、山への興味を持てるようになるのではないかと思います。

    また、博物館の付属園ではスバールバルライチョウ、カモシカなどが飼育されています。

    <市立大町山岳博物館の外観。>


    さて、上の写真に写っている山の名前は次のとおりです。これらの頂を結ぶ稜線は長野県と富山県の県境です。また、稜線付近は中部山岳国立公園の特別保護地区になっています。


    続いて、白馬村で撮影したものです。この写真は国道から少し山側の道端から撮影したものです。

    山の名前は、左から五竜岳、八方尾根、天狗尾根(なだらかな横に長い尾根)、白馬鑓ヶ岳、杓子岳です。白馬岳はその右にあるのですが、この場所からは見えませんでした。

    <八方尾根のスキー場は、ゲレンデに雪がありますが、斜面下部は整備中のため滑走できず、斜面上部のコースのみ滑走可能です。写真右の岩岳山のスキー場は、まだほとんど雪がありませんでした。>


    今週末には降雪の予報があるので、スキー場は予定通り営業できるかもしれません。スキー場からは、山並みがより間近に見え、麓から見るのとは一味違ったものになります。

    <八方尾根のスキー場から。白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳の白馬三山と小蓮華山。平成27年3月26日撮影。>


    年末年始を中心に入山される方がおられると思いますが、冬山登山では次の点に注意してください。

    ■この時期の登山は、北アルプスの冬山経験と冬山登山の技術、装備が不可欠です。また、天候の急変が事故に結びつくおそれがあるので、事前の情報収集と現地での適切な判断力が求められます。

    ■スキー場エリア外へ入山する場合は登山届の提出が必要です(白馬村のローカルルール)。登山届の受付箱は、JR白馬駅前、八方ゴンドラ、五竜テレキャビン、栂池ゴンドラなどにあります。


    知識や経験、技術の伴わない登山者は、この時期の安易な登山は厳に慎んでください。

    お気をつけてお出かけください。


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    2015年09月18日八方尾根の珍しい光景

    中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

    こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区からです。

    9月11日は長野県白馬村の八方尾根(はっぽうおね)を歩きました。

    天気があまり良くなかったのですが、そのおかげで珍しい光景を見ることができました。

    <虹が八方池にかかるところを撮影しました。各色がはっきりしているタイミングで撮影できたのでラッキーでした。

    この日は八方尾根のいろいろな場所から虹を見ることができたようで、いくつもネット上にアップされています。>

    今回は丸山ケルンまでの往復でした。丸山ケルン付近では登山道整備が行われていました。

    下の写真は上とほぼ同じ所を平成26年10月8日に撮影したものです。当時は、石が路面のあちこちに散らばっていて歩きにくい状況でした。

    この近くでは石を使った階段工で歩きやすくなっていました。

    この整備は環境省のグリーンワーカー事業(国立公園等民間活用特定自然環境保全活動事業)で、お願いしているものです。この場所を熟知した山小屋の方が作業を行っています。

    また、八方池山荘と八方池の間の区間も補修された箇所があります。下の写真は一例ですが、これは白馬村で行っていただいたものです。

    <石を割ったり、石の表面を削ったりして、足を載せる面を平らにし、歩きやすくしている。また、木道の傾きがないよう補修している。>

    八方尾根ではこのほか、八方尾根自然環境保全協議会、白馬村振興公社、白馬山案内人組合などが日常的な管理を行っています。

    さて、八方尾根の紅葉は例年10月上旬から中旬ですが、色づいているものもありました。

    <ハクサンタイゲキ。下の樺付近>

    <ダケカンバ。下の樺付近。>

    これから紅葉時期を迎えますが、その時期に八方尾根にお出かけになる際は、寒さ対策をお忘れなく。

    八方尾根のゴンドラとリフトを乗り継いで降りたところ(八方池山荘)の標高は約1,850mです。白馬村役場の標高が約700mなので、そこからでも標高差が約1,100mあります。100m上るごとに0.6℃下がるとすると、6℃から7℃低くなることになります。朝、夕は冬並みの服装でも大げさではないかもしれません。

    ■お知らせ

    八方尾根の第2ケルン付近の公衆便所は、改修工事のため9月30日まで使用禁止です。最寄りの公衆便所は八方池山荘横のトイレで、工事期間中はこの公衆便所が最上部のトイレとなります。八方尾根をご利用の際はお気を付けください。

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    2015年08月04日白馬大雪渓最上部で秋道(あきみち)の利用開始

    中部山岳国立公園 アクティブレンジャー 則武敏史

    こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区からです。


    白馬大雪渓は白馬岳登山に利用されるルートの一つで、夏でも雪が残り、登山者は雪の上を歩きます。ですが、残雪なので雪が少しずつ解けていきます。

    雪が薄くなったり、割れ目ができたりして、これまでのルートが危険になると、早めに雪渓から山の斜面に移り、そこに付けられた道(秋道)を歩くことになります。

    表題のとおり、白馬大雪渓最上部では、秋道を歩くようになりました。

    なお、雪渓から山の斜面に移る箇所は雪解けの状況に応じて変わります。今回の秋道の情報は8月3日に歩いた情報です。実際の歩行時は現地での誘導に従ってください。


    <これまでは雪渓をまっすぐ歩いて斜面に移っていました(×の上下に紅がらの跡が残っています)。8月3日は左岸側(下を向いて左側)が雪渓から山の斜面に移る箇所でした(水色の線が雪渓上の歩行ルート)。>


    <大雪渓を上ってきた場合、秋道に取付くには、紅がらから逸れないように歩いてください。また、直登できないようにロープが張られています。ロープを跨いで奥に行かないでください。>


    <秋道。特に下る場合は滑りやすい箇所があるので気を付けてください。>



    また、大雪渓の斜面上部にある小雪渓もまだ雪が残っており、雪渓上のトラバースになります。今シーズン滑落も起こっています。アイゼンを装着することをお勧めします。



    3日は白馬山案内人組合の方と歩きました。地元の方が協力して、できるだけ安全に歩けるように努力されていることが分かりました。

    <雪渓を歩く際の誘導となる「紅がら」撒き。左写真:前の人が撒き、後の人が広げていきます。右写真:赤いラインができています。>



    さて、白馬大雪渓を上りきった葱平(ねぶかっぴら)にはお花畑が広がります。


    この中には「シロウマ」の名を冠する植物もあります。

    <左:シロウマアサツキ、右:シロウマリンドウ(タカネリンドウ)>



    小雪渓を過ぎて山頂に向かう登山道沿いにもお花畑が広がります。写真を撮ったり、景色を思う存分堪能したりしながら登っていただきたいのですが、一方で、この時期は午後遅い時間になると雷が発生しやすくなります。早めの山小屋到着の計画を立てて、行動するように心がけてください。


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    2015年07月22日まだまだ見頃のミズバショウがありました

    中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

    こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区からです。

    7月15日に栂池自然園(つがいけしぜんえん、長野県小谷村)を歩きました。

    雪解けが遅いところでは、まだミズバショウが見頃でした。7月半ばという遅い時期にもミズバショウが咲き出すような所があるので、「日本一遅咲きのミズバショウ」という文句も頷けます。

    (ミズバショウの見頃は6月下旬です。「栂池自然園水ばしょう祭り」が開かれます。)

    <左は今回、右は7月2日に撮影。左写真でミズバショウが咲いている所と、右写真の残雪のある所が対応しています。右写真で開花していた所は既に葉が大きくなっています。>

    栂池自然園は、標高約1,900mに広がる日本有数の高層湿原です。季節に応じて様々な花が咲き、また、視界が良いと白馬岳などの山を望むことができます。木道が整備されており、それほどの山歩きの準備がなくても散策することができます。

    なお、アクセスは一般車の通行ができないため、栂池パノラマウエイ(ゴンドラ+ロープウエイ)の運賃(往復・大人3,300円)が必要で、栂池自然園の入園料(一般・大人300円)も必要です。

    自然園内では雪解けの時期が違いに応じた花が咲いていました。見ることができた花のうちいくつかを紹介します。ニッコウキスゲはつぼみが随分と膨らみましたが、開花まであと少しです。

    <上左:イワカガミ、上右;エンレイソウ、下左:キヌガサソウ、下右:マイヅルソウ。>

    <左:アカモノ、右:タカネザクラ。こちらは木に咲く花です。>

    さて、栂池自然園の近くでは、銀色のシートに覆われた塊がありました(7月2日撮影)。

    下のほうから白いものが見えます。シートの下には何があるのでしょう?

    シートの下には「雪」が保存されています。

    今週末の7月25日(土)、26日(日)に栂池自然園の山麓にある栂池高原では「おたり真夏の雪まつり」が行われます。そこで利用される雪だと思います。

    なんと! 雪の上をソリで滑ることもできるそうです(問合せは小谷村観光連盟0261-82-2233へ)。

    なお、7月26日(日)は「信州 山の日」です。「おたり真夏の雪まつり」と同時に「『信州山の日』フォーラム IN おたり」も行われます。「山を安全に楽しむために」というテーマで、講演や山岳関係者によるトークセッションが行われます。こちらも是非どうぞ(問合せは長野県林務部森林政策課026-235-7261へ)。

    梅雨が明けて、いよいよ夏山シーズン本番です。安全な登山のための情報収集、体と装備の準備をしてお出かけください。

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