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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

初めてのレンジャー出前授業

2020年07月01日
伊勢志摩国立公園 小川美代子

 伊勢志摩国立公園管理事務所では、伊勢志摩国立公園の自然について楽しく体験しながら学べる講座「レンジャー出前授業」を行っています。

 6月9日(火)、私にとって初めてのレンジャー出前授業を行いました。

 今回依頼を受けたのは、通信制の学校である代々木高等学校で全国に生徒がいます。

 今回の出前授業は、志摩市大王町の米子浜に出かけ、「志摩の海の豊かさを知ろう」というめあてで、志摩地域特有の地形や地層を観察したり、磯の生きものの採集や観察を行いました。参加した生徒は11名でした。天気にも恵まれ、暑くなることが予想された日でしたが、活動中は薄曇りで、風もあり、野外活動を行うには絶好の日和になりました。なお、感染症対策に配慮しながら活動を行いました。

 米子浜へは、人一人が通れる林の中の道を抜けて行きます。浜に出た瞬間、目の前にいきなり海、そして大きなアーチ型の岩が現れます。そして、その岩や周りの岩をじっくり観ていると地層が浮かんできます。斜めに傾いて隆起した地層が浸食され、この海岸線を作っているのがよく分かりました。

 授業でははじめに、「国立公園」、「レンジャーの仕事」、「磯の生きもの」について説明しました。レンジャーになって初めての出前授業でしたので、生徒に話がうまく伝わるか、緊張しながらの説明でした。広い場所、マスクをつけながらの話はよく聞こえず、内容も分かりにくかったようです。(残念。でも、次の機会には、改善し臨みたいと思います!)

 続いてタイドプール(潮だまり)で30分ほど磯の生きものの採集・観察を行いました。海水につかり、石をめくって貝や蟹を採っている生徒、魚を捕まえることに夢中になっている生徒、いくつかタイドプールをめぐり、生きものを積極的に探しに行く生徒など様々ですが、自然にふれあい、生きものを観察したり、採集したりすることを楽しんでいる様子が伝わってきました。

 

 学習のまとめでは、採集した生きものを互いに見せ合い、海の豊かさを体感しました。採集した生きものは、種類別にトレイに分け、生徒に観察してもらいました。下見の時よりもたくさんの生きものを確認することができました。

 採集した生きものは、ヒザラガイ、マツバガイ、イボニシ、アラレタマキビ、イシダタミ、トコブシ、サザエ、ハゼ、オヤビッチャ、エビ、ヤドカリ、カニ、カメノテ、フナムシ、イソギンチャク、ヒトデ、ウミウシ、ウニ、海藻などです。

<生徒のバケツの中>

 

 最後は、採集した生きものを磯に帰します。「生きものを大切に扱う」という気持ちを育むため生徒にやってもらいました。

 活動中心の授業でしたが、生徒が生き生きと活動できたことが一番の成果だと思いました。

 後日、学校教室にて小グループに分かれ、「志摩の海の豊かさ」についてパワーポイントで発表資料を作成し、プレゼンテーションを行いました。どのグループも米子浜の地層の様子、どんなところにどんな生きものがいたかを図や写真を使い解説し、それぞれの生徒が志摩の海が豊かであることを理由づけて述べていました。志摩の海の豊かさを知る本学習のめあても達成できたと思いました。

 これからもレンジャー出前授業などを通じて、地域の方々が自然にふれあったり、自然について考えたりする活動を支援していきたいと思います。