2018年2月20日
2件の記事があります。
2018年02月20日湿地について考える
国指定藤前干潟鳥獣保護区 西部理恵
寒い日が続き、すっかり静かになってしまった藤前干潟から、皆さまこんにちは。
アクティブレンジャーの西部です。
2月に入ってからは寒さが続くこともあって、訪れる人も少なく静かな藤前干潟です。
そんな2月は、実は、湿地に関係する月なのですが、皆さまご存知ですか?
2月2日「世界湿地の日(World Wetlands Day)」
1971年2月2日にイランのラムサールという町で初めてラムサール条約が締結されました。これを記念して、毎年、2月2日は今一度、湿地と人の生活を考える日にしよう!と言うわけなのです。
少し前の話になってしまいますが、今年の2月2日も、湿地を考えるシンポジウムが開かれました。
今年は、「都市の湿地」がテーマだったのですが、まさにここ藤前干潟も大都市の中に残された湿地の一つ。
各地の報告が資料として出ていましたが、とても興味深いものばかりでした。
さて、ちょうどその頃、私はと言えば、はじめてオオジュリンを自分の目で見た記念すべき日となりました!
これまでも声は聞いていたのですが、その姿は全く見ることかなわず・・・
この日は、約半年間、出前講座など様々な普及啓発イベントの場で活躍してくれたアカテガニとクロベンケイガニをリリースしにヨシ原へ。
そこでしばらく、カニたちがヨシ原へ戻る様子を見守っていると、ヨシ原の中でカツカツと音がするではありませんか!
静かにしていると、オオジュリンが目の前のヨシの茎をカツカツとつついて何かを食べているようでした。そーっとカメラを構えてパシャッ。
<オオジュリン:手前のヨシが邪魔ですが、証拠写真としては十分ですよね!>
私がこんな体験が出来るのは、それが職場だからでしょ?と思われますか?
そうですね、もちろんそれもあります。
けれど、ここ藤前干潟は、散歩コースとしてもとっても人気なんですよ。
恐らく、歩いている皆さんは知らず知らずのうちに、あぁ今年もカモが飛来する季節になったなぁ、とか、
枯れたヨシ原を見て、もう冬だなぁ、と言ったことを感じておられることでしょう。
中には、私のように、ハッと何かに気づく瞬間を経験している方もいらっしゃるかもしれません。
<めちゃくちゃキュートなカモ(恐らくオナガガモとヒドリガモ);ご飯に夢中!>
都市の湿地とは、こんな風に、気軽に日常的な体験として自然と親しむことができる、と言うことが魅力だと思います。
と、同時に、都市の湿地は、様々な要因ですぐにその自然環境が改変されてしまう脆さも持ち合わせています。
ぜひ、皆さんも、この藤前干潟(もしくは、ご自身の身近な湿地)について、考えてもらえると嬉しいなぁと思います。
<ラムサール条約登録の碑:稲永公園にあるのでチェックしてくださいね!>
名古屋自然保護官事務所のAR日記へのご意見・ご感想がございましたら、ぜひメールをお願い致します。
2月13日(火)に代々木高校フリースクールで2回目の出前授業をおこないました。
前回は横山園地に来てもらいビジターセンター周辺の自然調査をしましたが、
今回は代々木高校の周辺で、より実践的な調査をおこないました。
代々木高校はもともと旅館だった建物を利用しています。
全域が伊勢志摩国立公園の第3種特別地域に指定されている賢島にありますが、
周辺には近鉄賢島駅や大型のホテル、水族館なども整備されおり、
開発の進んだ地域になります。
はじめに、代々木高校の校舎周辺で植物の名前を記録しました。
高木か低木か、落葉樹か常緑樹か、草本か木本か、
外来種か在来種かなどについても見分けて記録しました。
次に賢島金刀比羅宮でも同様の調査をおこないました。
ここは神社なので古くからの自然が残っている場所です。
調査結果は学校に戻ってから模造紙にまとめました。
2箇所に共通して見られた種、どちらかの場所にしか見られなかった種で分けると、
賢島には全体に常緑広葉樹が多く見られること、
代々木高校周辺では草本や外来種が多く見られたことなどがわかりました。
今回の調査結果は、主に賢島を利用する観光客の方に、
賢島にはどんな種類の植物があるのかを伝えるために作成しました。
短い時間の作業でしたが、とても良い作品が出来上がったと思いました。