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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

南伊勢町の押渕湿地で植物調査

2017年07月15日
伊勢志摩国立公園 麻生里衣

伊勢志摩国立公園の南西部に位置する南伊勢町の押渕湿地は、貴重な湿地性の動植物が残っている場所です。

ところが、最近は乾燥化による植生の遷移や生物多様性の喪失が懸念されており、今回は植物の調査を行いました。

押渕湿地 調査
今回は植物のエキスパートの皆さまの調査に、パークボランティアさんと一緒に同行しました。

押渕湿地

構造物のない本来の姿を留めた小川の横を歩いていくと、普段は見慣れない様々な植物が目につきます。

ハンゲショウ

こちらはハンゲショウという、葉の一部だけが白化する植物。遠目には大きな白い花の様に見えます。

さらに進むと、稀少なミクリ科の植物が見つかりました。ちいさい栗のような花と実が可愛らしい植物です♪

ヒメコウホネ
絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されているヒメコウホネも、数か所で綺麗な花を咲かせています♪

グンバイトンボ

さらにこちらのグンバイトンボ(準絶滅危惧:NT)や、ウナギも見つかりました!

きれいな冷た~い湧き水が出ています。「それで小川の水がこんなにきれいなのか!」と思わされました。

この押渕湿地が、本当に様々な動植物が見られる貴重な場所であることを再確認しました。

それと同時に湿地の今後が危ぶまれます...。

話によると、以前はもっと水量が豊富で、トンボの数も今よりずっと多かったといいます。

地元の方々が大切に守ってきた押渕湿地。

数が減っている湿地の生きものや植物の楽園を、なんとか守っていければ...と思います。