2016年10月11日
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2016年10月11日*刈込池で清掃活動*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
福井県大野市上打波にある刈込池は紅葉の名所として知られており、見頃の時期には多くの人で賑わいます。実はこの刈込池、白山と深く関わりのある場所なのです。
かつて白山には大蛇3000匹が住んでおり、山麓の人を苦しめていました。そこで泰澄大師は大蛇を退治し、特に凶悪な1000匹を蛇塚に、もう1000匹は千蛇ヶ池に、そして残る1000匹をこの刈込池に封じ込めたそうです。それから刈込池を見下ろす位置にある剣ヶ岩に大剣をつきたて、湖面に映るようにしました。大蛇は鉄に触れると体が腐ってしまうので、湖面に映る剣を怖れて出られなくなった、ということです。
そんな刈込池を多くの人に気持ち良く利用してもらうため、まだ葉っぱが色づき始めたばかりの9月末、パークボランティアで清掃活動をしてきました。刈込池の周辺にはぐるっと一周できる自然研究路が整備されており、所々に案内看板が設置してあります。ゴミ拾いをしながら、看板の清掃をしてきました。
案内板は泥やほこりで汚れています。
ブラシや雑巾を使ってゴシゴシ汚れを落としていきます。
見違えるほど綺麗になりました!!
解説看板は全部で13基あります。全てを拭き上げるのは重労働でしたが、ピカピカになると心も晴れやか、達成感がありました。ぜひ解説を読みながらゆっくり散策を楽しんでくださいね。
キノコやアカハライモリなど小さな生き物たちもたくさんいました。
左から・・・ベニテングタケの幼菌?、大きなタマゴタケ!、アカハライモリ
残念ながらこの日は曇りでしたが湖面にはうっすらと木々が写り綺麗でした。紅葉はまだまだこれからのようです。約2時間で一周できますが、山道で滑りやすい箇所もありますので、汚れても良い服装としっかりとした靴でお越しください。
↑この日の刈込池。紅葉で晴天の時にはすばらしい景色を見ることができます。
↑急な階段があります。 ↑石段は滑りやすくなっています。
お気を付けて!!
度会郡南伊勢町の押淵地区には約5haほどの湿原(湿地)があります。
ここは希少な水生植物やトンボ類の生息地ですが、
地元でもあまり知られておらず保全の手も入っていません。
このままでは湿地の乾燥化が進んで植生が遷移し、
貴重な自然環境が失われてしまうことを危惧して、
南伊勢町、環境省、横山ビジターセンターなどでプロジェクトチームを作り
普及啓発に取り組むことになりました。
具体的な取組は、
1.押渕湿原で自然観察会の実施
2.主に地元住民を対象としたレンジャー出前講座の実施
3.押渕湿原の写真と伊勢志摩国立公園の昆虫標本の展示
の3部構成で、10月2日(日)に1と2を、10月3日に3の設営を行いました。
1.自然観察会では主にバッタやトンボなどの昆虫と植物を観察しました。
トノサマバッタとウスバキトンボを観察しています。
日本一美しい赤とんぼと言われるミヤマアカネです。
押渕湿原にはたくさんのヒメコウホネが生育していますが
ここはハンノキなどに被陰されていて元気のない場所です。
2.出前講座は地区の公民館で行いました。
南伊勢町の町長をはじめ、副町長、教育長などにも来ていただきました。
約50用意していただいた席がほとんど埋まり、
地元での関心の高さが伺えました。
3.南伊勢町「愛洲の館」ロビーで押渕湿原の写真と伊勢志摩国立公園の昆虫標本の展示を行いました。
写真30点、昆虫標本約2300点を10月31日(月)まで展示しています。
ロビーなので自由に見学ができます。
今後も押渕湿原での自然観察会や生物調査を継続して行い、
地域の方々とともに保全に取り組んでいきたいと思っています。