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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

火打山近況

2013年06月03日
妙高
 九州地方が梅雨入りした5月の最終週、登山道の一部の状況確認と、火打山ライチョウ調査のため、高谷池ヒュッテに向かいました。

 今年度初めて火打山の登山口である笹ヶ峰に入りましたが、昨年より雪消えは早く感じられ、当日はちょうど笹ヶ峰牧場で放牧される牛たちが運ばれる日で、牛が乗ったトラックのあとをついて笹ヶ峰に入りました。

 笹ヶ峰の登山口から高谷池を目指して総勢20名で登りはじめましたが、高度があがるにつれ周囲は一面の銀世界となり高谷池ヒュッテ周辺は、



まだ1m以上の積雪が残っている状態。

 火打山、影火打、焼山(右から順に)を後にして、




18名の調査員の皆さん、自然保護官とともに、ライチョウを求めて山頂手前の雷鳥平を目指します。




 火打山のライチョウは、日本最北限、最少の個体群とされ、30羽前後しかいないと考えられています。そのため生息状況の調査が必要になっているのです。

 調査の皆さんとともに雷鳥平周辺のハイマツ帯をチェックしながら山頂まで探しましたが、丁度この写真の右手の、雪が消えて低木と地面が露出しているくぼ地あたりに、夏毛に生え替わったライチョウのペアを確認することができ、さらに下の谷を「ゲー」と鳴きながら移動するオスのライチョウを確認することができました。

 今年はすでに縄張りをつくり終えていたようで、残念ながら去年のように縄張り争い中の個体を間近で観察することはできませんでした。


 下山途中、



今年はちょうど満開のシラネアオイが迎えてくれました。

 5月最終週の調査でしたので、その時点の状況になりますが、黒沢橋周辺から急な登り坂が続く「十二曲り」周辺はところどころ雪が残り、断続的に残雪の上を歩かなくてはならない状態。

 その上のオオシラビソの樹林帯から富士見平、高谷池ヒュッテ、そして山頂付近までは一面の残雪で覆われている状態でした。装備はアイゼン、ピッケル、軽アイゼン、ストックを準備し、中でも軽アイゼンはかなり活躍してくれました。調査後の妙高高原は夏を思わせる暖かさが続いていますが、6月いっぱい位は雪上を歩く区間が残ると思います。

 火打山山頂への登山道は、笹ヶ峰にある登山口で標高1300m以上、高谷池ヒュッテで標高2000m以上、山頂で標高2462m。3000m級の山々ではないため、気軽に訪れる登山客の皆さんが年々増えてきているように個人的には感じています。

 昔から、山は高くなくても、「天気は変わりやすい」と言われていますし、ヒュッテの職員さんも高谷池ヒュッテ周辺の天候は特に予想できないと言っていました。

 これからの季節、たとえ平野部で夏のような陽気でも山の上では冷たい雨が降ってくることもありますし、雪解け水でぬかるんでいるなど足場の良くない箇所も所々あると思います。

 事前に周辺の天候や登山道情報をできる限り収集し、装備も十分準備することで、火打山を訪れる皆さんが安全で楽しい登山と妙高高原の豊かな自然を心ゆくまで体験されることを、いつも願っています。