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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

 アップしました!!

2011年08月31日
名古屋



 映画の予告編を観ていると、「構想5年!制作3年!」という、クレジットが出てくることがあります。いかに、時間と労力を費やしたか、ということの表現なのだと思いますが、これをもじって、「構想1ヶ月!制作に3ヶ月!」の歳月かけて完成したのが、現在、環境省動画チャンネルで配信中の「藤前干潟 夏羽の鳥たち」です。


*映像は、ハマシギの群舞で始まります。

 思えば、そもそもの始まりは、この5月に干潟で羽根を休めているダイサギを双眼鏡で見たことに遡ります。ふと目に留まったダイサギの目のまわりがアイシャドーを塗ったように緑色に見え、それは、それは、怪しい美しさを称えていたからです。
 鳥に詳しい名古屋市野鳥観察館のスタッフの話を聞くと、それは繁殖期に出現する「婚姻色だ」とか。さらに、「夏羽のコサギは、頭に長いベールを冠羽が現れ、ベールをかぶったみたいになりキレイだ」と言います。
 この言葉が、動画を作るきっかけとなったことは言うまでもありません。


*きっかけとなったダイサギの緑色の目(左)。
コサギ(右)の冠羽も夏羽の特徴だ。

 それからというもの、干潮時間に時間を作り、カメラを片手に干潟に出かけるようになったのですが、鳥たちは、わたしが鳥の初心者であることを知っているのか、「見せてあげない!」とばかりに、姿を表してくれません。
 カメラに残るのは、周辺の風景ばかり。そんな日が続いたある日、名古屋市野鳥観察館のスタッフから、こう声をかけられました。「鳥は、干潮時間の前後の方が、干潟に来ることが多いよ」。
 さらに、驚いたことに、名古屋市野鳥観察館のスタッフの皆さんは、鳥が来るのを待って、シャッターを切るのではなく、鳥が来そうなタイミングがわかる、ということでした。


*動画の中で一番好きな写真。干潟が出るのを待つシギ・チドリ。

 今のわたしの実力では、一生かかっても夏羽の鳥たちを撮影することができません!恐る恐る写真協力をお願いしたところ、二つ返事で、CDにデータをコピーしてくれました。これで良い作品ができる、と喜んだのもつかの間、鳥を勉強中のわたしは、どれが夏羽でそれが冬羽なのか、はたまた鳥の名前の判断のつかないものあり、一人で密かに汗をかくこともしばしばありました。


*エサをついばむ姿から、バードウォッチングを始める人もいるという。       
写真協力:名古屋市野鳥観察館(すべて)

 気がつけば、鳥は7月に北へ向かい、暑さが残るこの時期の完成にこぎつけました。
 残念ながら、今、藤前干潟では、渡りの鳥を見ることができませんが、あと1ヶ月もすれば、また北から渡来する鳥たちで賑わいます。
 鴨戻る。実は、この「鴨戻る」は、俳句の世界で親しまれている秋の季語なのです。
 鴨が戻ったら、またこの日記でお知らせします。それまで「藤前干潟 夏羽の鳥たち」をお楽しみください。そして秋、お会い出来る日を楽しみにしています。
■環境省動画チャンネル
http://www.youtube.com/kankyosho