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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

【日本のいのち、つないでいこう!COP10まで50日前】

2010年08月25日
戸隠
★外来生物の脅威★


この地球上には、どれくらいの種類の生物がいるかご存知でしょうか?
現在、未発見のものも含めると3000万種とも言われています。

私たちの住む日本にも、多種多様ないきものたちがいて、それらが微妙なバランスを取り合うことで、豊かな自然環境を作っています。
いきものの中には、日本固有の生物もいれば、『外来生物』と呼ばれるものもいます。

『外来生物』とは字の通り、『もともとその土地にいなかったけれど、外の地域(外国など)から人が持ち込んで来た、または荷物などにくっついて勝手に入り込んできた生物』のことです。日本の野外にいる(ある)ものだけで、2000種に達するとも言われています。

これらは、私たちの生活で役に立っている一方、その繁殖力の強さなどから、在来生物(その土地にもともといる生物)をおびやかし、場合によっては絶滅の危機にまで追い込んでいます。

身近なところでは、下記の様な生物が挙げられます。


☆☆☆魚や動物では・・・
・ブラックバス(オオクチバス)
・アライグマ
・ジャワマングース
・カミツキガメ


<長野県内で捕獲されたカミツキガメ。大型に成長し、色々な生物を補食する。極めて長寿で、繁殖能力も高い。>


☆☆☆植物では・・・
・ハリエンジュ(ニセアカシア)
・アレチウリ
・セイヨウタンポポ
・ハルジオン
・ヒメジョオン


<すっかり見慣れた道ばたの草にも、侵略的な外来種がたくさん。左上から、ハルジオン・セイヨウタンポポ・オオキンケイギク・オオハンゴンソウ>


これらの外来生物について、特に生態系などに悪影響を及ぼす可能性があるもの(=侵略的な外来種)を、『外来生物法』という法律で規定しています。簡単に言えば、これらの外来生物を『入れない・捨てない・拡げない』という原則を定めています。

では『外来生物』とは果たして悪者なのでしょうか?
・・・実は、一概にはそうは言えません。
これらは、よそから日本に来たから『外来生物』なのであって、本来の生息地では何ら問題なく生息しているものです。ただ、それが人間の都合で日本国内に持ち込まれてしまったことにより、従来そこで生息している生物たちや、私たちの生活に重大な影響を与えるということで、そのような対策が必要となっているわけです。

私たちアクティブ・レンジャーも、各地でこの『侵略的な外来種』を除去していこう、という取り組みを行っています。

今年は『ハルザキヤマガラシ』などの外来植物について啓発チラシを作り、また地元の方達と共に、実際に除去する活動も行いました。
私の住む地域においても、『去年はこんな場所に生えていなかったよね・・・』『こんな山の中にまで、どうやって種が飛んだの?!』と驚く繁殖ぶりに、恐ろしささえ覚えました。


<ハルザキヤマガラシ。いわゆる菜の花に似ているが、よく見ると特徴が異なる。最近では、道ばたや土手沿いなどにも大群落を作っている。>


『外来植物に居場所を奪われて、希少な高山植物が消えてしまった・・・』そんな最悪な事態になる前に、なんとか手を打ちたいものです。

外来生物の除去については、他の地域で活動する職員とも情報交換を行い、効率的な除去方法などについても話し合っているところです。


多種多様ないきものたちが、これからもこの地域で、日本で、地球で共存していくために、何か力になりたい。
そんな想いで、活動を行っています。

『国際生物多様性年』の今年。

世界規模での生物の多様性について考える一方、身近なところのいきものたちについても、一度思いをはせてみてはいかがでしょうか?


↓↓↓『外来生物』の種類や除去方法に関する、詳しい情報はこちらへ↓↓↓

http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/index.html